2020/02/20

ミツマタとからすのリサイタル


雨が多くて暗かった冬がそろそろ終わってる予感。今週は快晴続きでテンションあがってます。近所のプラムやアプリコットの花が咲き初めました。




 月曜日、すごく久しぶりにバラード・ロックス(湖の水門)に行ってきました。

対岸の樹の上にぽこぽことあるのは、オオアオサギの団地です。(あれ見に行ったのはもう5年前なのだった!)



あらいい香りと思ったら、ミツマタ(paper bush )が咲いていました。
和紙の原料になる低木です。だからペーパーブッシュ。

中国名は「結香」だって。きれいな名前。



花房が大きめなので華やか。
沈丁花科だそうです。香りも似ている。



こちらは紅梅かとおもったら「アプリコット」とありました。香りはほとんどなかった。



ロックスの橋の近くのイルカ?ちゃん。どういう生物なのかよくわからない。

近くの樹にカラスが大集合していたのだけど、一羽だけ、群れからちょっと離れてへんな歌を歌っているカラスがいました。
何か別の鳥(たぶんキツツキ)の歌マネと、木の実を叩き合わせるような音をずっと繰り返して、一羽でリサイタルを開催中で、熱演ゾーンに入っているようでした。
歌マネ部分(ケッケッケッというような音)とパーカッション的な部分(カッカッカッ)を組み合わせて、 そういってよければ、即興で作曲してるっぽかった。


なんかすごく楽しそうだった。オレの歌を聴け!みたいな、いや女性かもしれませんが。

動画に撮っておけばよかったー。



気づけば街中、花がずいぶん咲いてます。これはエリカかな。

明日からちょっとだけ東海岸に行ってきます。ボストンは氷点下だって。


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2020/02/15

世界の終わりに聴きたいやつ



Happy Valentines Dayでした! 

個人的には一切関係ございませんがにゃ。(・д・)チッ

暗くて雨の多い冬だったけど、この金曜日のバレンタインデーは明るくてわりに暖かく、いつの間にか沈丁花やプラムが咲いていて、すっかり春仕様の一日でした。


散歩の途中で出会ったハミングバードちゃん。

拡大。

ニュースをつければ不穏な知らせばかりの春ですが。春は春。

心穏やかに、しかししっかり心の底から怒りを感じつつ、全身全霊で政権交代を祈るよ。
日本もアメリカも。

ウイルスもはやく終息しますように。
  



最近Apple Musicでおすすめされて以来はまっているピアニスト、ヴィキングル・オラフソン。

なんだか難しいウイルスかなにかの名前みたいですけど、キラキラした硬い音と内省的で繊細な表現が好きすぎる。

このビデオめっちゃいいです。ツボツボ。
この絶望的に冷たい北欧の色と、『ブラック・ミラー』的な、ディストピアSFのようなミュージックビデオ。

地球にバッハの曲があってよかった、としみじみ思う。

死ぬまで一種類の音楽しか聞けなくなったとしたら、迷わずバッハを選びます。


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2020/02/12

頭上の触手とロシアの苦悩



シアトル交響楽団の本拠地ベネロヤホールに飾られている、デイル・チフリさんの巨大触手シャンデリア。

このあいだものすごーく久しぶりにシンフォニーのコンサートに行きました。
ギター中年M太郎くんが連れ出してくれた。

演目はグリーグの『ペール・ギュント』序曲、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲(作品77)、ニールセンの交響曲1番。

ショスタコーヴィチとニールセンはぜんぜん聴いたことのない曲でした。

ショスタコーヴィチの協奏曲をユーチューブで予習してみて、 なにこれ難しい、退屈したらどうしようと思ったけど、実際にホールで聴いてみると、その密度と緊迫感、音の痛々しいほどの美しさに引きこまれて、涙でるほど感動しちゃいました。

ヴァイオリンのソロが静かな苦悩と葛藤をながながと語り、だんだん激しくなっていく3楽章が、特にもう、有無を言わせない迫力がありました。


(動画はヒラリー・ハン& ベルリン・フィル、サントリーホールでのコンサート)

1947年、第二次大戦後の曲。スターリン政権下で前衛的音楽が弾圧されていたあいだ発表を控え、スターリンの死後1955年になってから初めて初演した、とパンフレットに書いてあった。

クラシックは好きで子どものときからけっこう聴いているけど、聴く範囲がとっても偏っていて、20世紀の、とくに戦後の音楽はほとんど知りません。

行く前にはえーなんでこの演目なんだよM太郎、もっとポピュラーな曲が聞きたいよと内心こっそり思ったんだけど、行ってよかった。

自分の知らないものに向き合って時間を使うのはめんどくさくてちょっと怖いけれど、必ず報いがあるものですよね〜。人生の目的ってそれだったのなー、と最近しみじみ思っちゃってる。

ヴァイオリンはパトリツィア・コパチンスカヤさんという華奢な若い女性ソリストで、すごーくエネルギッシュでした。
ティム・バートンの映画でいつも奇妙な役を熱演するヘレナ・ボナム=カーターに似てるwと思いました。顔がというより、全体の雰囲気が。

モルドヴァ生まれ。モルドヴァってどこだろうとぐぐってみたら、話題のウクライナの隣りにある小さな国だった。

シアトル交響楽団を観に行ったのはじつはたったの2回めです。

ずっと前にピアニストのランランが来たときに息子とピアノ協奏曲を聴きに行ったのが最初で最後。でもそのときにくらべて、今回のオーケストラの演奏は格段にかっこよかった気がする。

指揮者のトーマス・ダウスゴーさんという方、今のシアトル交響楽団の音楽監督だそうですが、素晴らしかったです。見ていてほんとに楽しい指揮だった。

素手で音楽が作り出せるってすごい。機会があったらまた観に行きたいです。

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2020/02/11

パラサイトふたたび&アジア美術館見仏記


『パラサイト』アカデミー賞受賞にはびっくりしました!

きっと日本では、嫌韓業界の方々が大変残念がっていることでしょう。

味つけの濃い〜映画だからすぐにまた見たい!とは思わないけど、良い映画だし、アジアの隣国の監督がこれだけ大きく注目されるのは嬉しいです。でもこれだけ大々的にオスカーを総ナメで受賞しちゃったりすると、次回作のプレッシャーが大変だろうなー、なんてまったく余計な心配ですねw

コリアンのテイストとハリウッドのテイストは似てるのかもなー。あと大阪も同じグループだと思うな。 「こてこて」。

授賞式は見てなくて(見ようかな、とおもったらテレビが映らなかった。たぶんアンテナがつながってなかったのかも…)、ブラピの「45秒のスピーチ」も見逃してしまいました。今年の男優賞は主演・助演とも超納得でした。

Netflixのメジャーな受賞は助演女優賞のローラ・ダーンだけだったのかな。
あの南カリフォルニアに絶対いそうな弁護士!『Marriage Story』も、すごく好き。


アカデミー賞は見なかったけど、日曜日はリニューアルオープンしたシアトルアジア美術館に行ってきましたー。久々にジェニファーちゃんとのお出かけ。

お天気よかったー。気持ちよく快晴の週末。

オープニング記念で、週末は無料でした。


大リニューアルなのだけど、驚くほどには変わってなくて、もちろん以前の素敵な建物(1933年のアールデコ建築。以前はシアトル美術館の本館だったそうです)はエントランスもホールもそのままで、裏手に新館部分が加わってました。ちょっと広くなったかな、くらいの感じでした。

展示室がものすごーく広くなったわけではないけど、地下にあたらしい修復スタジオができていて、なんと畳と障子の部屋だった。
そこもオープニングの週末ということで公開してて、案内の人が説明してくれたのに、写真とるの忘れた。これから2人の専従スタッフが入って修復に取りかかるんだそうです。

常設の仏像さんたちの部屋がとても楽しい。

こぢんまりした規模だし、地域や時代別ではなくてテーマ別の展示なので、いろんなタイプの仏像さんたちが隣り合っていてコンパクトに見比べることができます。
こうやって、すごく大づかみに日本を含むアジアを見渡す機会って、日本では意外になかなかないのかもしれない。


こちらはチベットの菩薩像。インド、チベット、パキスタンのあたりの仏像さんたちはみんなウェストが細くて、女性的でなまめかしい。

日本の仏像は静的で、シンプルでしんとしているのが多いです。

この横のとこに、仏像のまねをして手でムードラを作ってみましょう、というインタラクティブな展示があった。



こちらは千手観音と、後ろの写真はインドの現代アーティストの作品でした。


こちらは日本の飛天さん。平安時代のもので、もとは大仏の光背の一部だった、と書いてありました。
いったいどこの大仏さまだったのか、その大仏とお寺はどうなったのか、なぜここに流れ着いたのか。素敵な像。お顔もとても穏やかでほのぼのしてる。
12世紀の仏師、どんな人が彫ったんだろう。

日本の仏像を海外の美術館のガラスケースの中などで見ると、ああ…と思ってしまうのだけど、ああ…の中身が自分でもよくわからない。


チベットの曼荼羅。おもしろーい!
これがサイズとっても小さいのです。大判のハンカチくらいの大きさ。エルメスのスカーフより小さい。その中にこの密度。細かい。ルーペがほしかった。


高野山の胎蔵界曼荼羅とも金剛界曼荼羅ともぜんぜん違ってて、いろんなスキマにいろんな存在がいる。解説本ほしい。
 


新館部分にできたコンテンポラリー作品の広い展示室にあった、Akio Takamori さんの作品。


洛中洛外図。江戸時代のもの。いろんな光景が細かく描き込まれていて面白い。


刺し子の火消し半纏。この背中のウサギをとくと見やがれ!
カッコ良すぎ〜〜。
これ、今年のミラノコレクションに出てきても全然違和感ないよね。
町火消しヤバいですよ。

こういう美術館がシアトルにあって嬉しいです。
 
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2020/02/07

赤い食べもの


ご近所の南天。
雨の日は植物がきれいですね。

シアトルはそろそろ早春の気配。スノードロップとかも咲いている。


プラムやなんかの蕾ももうかなり膨らんでいる。

うちの前にあるピラカンサがたくさん実をつけているところへ、昨日はスターリングの御一行が何十羽も来ていてすごくにぎやかでした。

来ない日は閑散としてるのに、つられたのかロビンも数羽来てた。いつも素通りしている店に行列ができていると、ついのぞいてみたくなる心理でしょうか。

スターリングたちはいつも集団で行動するけど、「今日はここで食べるよ」っていったい誰が決めるんだろうか。不思議すぎる。



先週はCTちゃんちでボルシチ女子会におよばれでした。冬はボルシチ。


干支のネズミ。じゃなくて犬。のスプーン置きは建築家よっぴーさんのお手製。
かわいいのに失敗作だといいはっている。かわいいよねえ。Etsyで売れるかもよ。

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2020/02/05

1月の舞踏


いつのまにかもう2月になってますね!ほんとか!

あっという間に過ぎ去っていた1月。きっと半分くらい気を失っていたのかもしれないと思うくらい早い。いっそそうだったらいいかもしれない。
いやでも、たまには出かけてましたし、いちおう社会人として活動もしている、ときどきは。

舞踏パフォーマンスだって観に行きましたよ〜。2回も!


ひとつめは1月19日。

激変しつつあるダウンタウンとSODOのさかいめあたりにひっそりと生き残っている稀有なスペース、Teatro de la Psychomachia(テアトロ・デ・ラ・サイコマキア)にて、恒例となった土方巽メモリアル・パフォーマンスを観に行きました。

去年は行けなかったのだけど、2017年2018年にも行きました。



舞踏家、薫さんは、今回、花魁のようなかんざしで登場。
(追記:これはかんざしではなくて実は、枯れた花とその実だそうです)


重さのない身体というかんじ。手の美しさよ。


あふひさんは、今回初めてのソロ舞台だったそうです。
(また追記:「シアトルでは」初のソロ舞台。日本ではすでにソロパフォーマンスされていらっしゃったそうです。確認しなくてすみません!)

背景は、テアトロ・デ・ラ・サイコマキアならではの祭壇。
ロウソクがすごいでしょ。
生きている炎です。



あふひさん、わたしが見た前回、一昨年の舞台では胎児〜戦災孤児だったのだけど、今回は、赤い紐につながれたなにかを、産み落としていらっしゃいました。

やはりこの人は、なにをやっても透明なイノセントな存在になってしまう。なんでも同じという意味ではなくて、それぞれにちゃんと命の重量がある無垢な存在として、孤児だったり母だったり、バーの女だったり。

ほんとうに、舞踏というパフォーマンスには演者そのひとの底にあるものがダイレクトにちらちらと現れる(出っぱなしではなく、チラチラとロウソクの火のように垣間見える)。


箱のなかに白い液体。これを自分に塗りたくる。
(あとから聞いたら、これ「もち粉」だったそうですw)。


だんだんと静かな存在になっていく。「ホワイトブッダ」。そのまま空気に消えそうな。


そしてこちらは、うってかわって明るいスペース。

日曜日の午後、パイオニア・スクエアのギャラリー、ARTXchangeで開催されたパフォーマンス。サイコマキアのあるじ、ヴァネッサさんと薫さんのデュオでした。

もう何年も続けて薫さんたちの舞踏をみせていただいてるけど、このペアは初めてで、今までにないエネルギーの組み合わせがとても新鮮で、面白かった。


テーマは「癒やし」。
床のうえにはられた結界。そのなかに舞う、黒と赤のタマシイ。

薫さんのパフォーマンスはいつもは「静」で超越的なアティテュードを持つ何かになっているけれど、ただそこにいるだけで激しい生命力をガンガン放出しているヴァネッサさんと絡むと、今まで見たことのないかたちが現れる。

なんだかどこかの古い森の樹の洞にフクロウと一緒に住んでいる精霊のような、不思議に明るいはっちゃけた個性が降臨していました。


フィナーレは、二つの精霊が金色の紙を会場に撒きまくる。

薫さんは今回、アーティストのYUKOさんのアイデアで顔にペインティングをして登場。そのために、一種の匿名性をもつ「お面」をかぶった存在としてあって、それもまたいつもとパフォーマンスのニュアンスが違うのでした。

そうか、お面というのは、なにかを演じるのではなくて、なにかでなくなるための装置でもあるのだな。

あっそうそう、音楽は、この上の写真の左側の奥にいる悲壮な顔をしたイケメン青年による、電子チェロの即興演奏。これがまたとても気持ちよかった。



休憩をはさんで第2幕。今度はヴァネッサさんの太鼓にあわせて、会場をあちこちさまよう白いタマシイ。


幻視アーティストYUKO ISHIIさんの、不思議なアートと語り合う。

会場でお久しぶりの方とも会えて、嬉しかったです。

弾劾裁判も呆れたことに予想どおりに終わってしまったし、不気味なウイルスが広がっているし、世界には本当に癒やしが必要ですよね。なんなのこの時代は。



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2020/01/19

ビートルジュースまもなく爆発?




シアトル・フィニーリッジのハーキマー・コーヒー
ロースタリー併設です。
コーヒーおいしいです。

いつのまにか、バラードの人気ベーカリー、Cafe Besalu のペストリーを置くようになっていた。前からだっけ?
Besaluは平日午後2時に閉まってしまうので、わたしとしてはとても難易度の高いカフェである。というわけでまた甘いパンをつい買ってしまうのだった。

先日NPRのShort Waveというポッドキャストで
「ビートルジュースの光が弱くなっている」
というニュースをききました。

え?


 Beetlejuice?

ティム・バートンのこのカルト映画、わたくし名前は知ってたけどあえて観たことなかった。

しかしどうやら映画じゃなくてオリオン座の星のことを話しているらしい →  ビートルジュース=ベテルギウス??  ええっ?

このポッドキャストを聴いた瞬間まで、「ビートルジュース」が「ベテルギウス」の英語読みの音に「かぶとむし+ジュース」という単語をあてはめたものだったということを知りませんでした。

ていうか、「 Beetle Juice」にしかまじ聞こえないんですよ!

ちょっとここで聞いてみて! 「ビートルジュース」って言ってますよね?

ベテルギウスはいうまでもなく、オリオン座の左肩にある明るい星。
そうか、あなたがビートルジュースだったのか。

それはともかく、このベテルギウスがいまだかつてなく暗くなっているという話です。

きのうの朝日新聞ウェブ版にも出てた。


そういえば、いつだったか珍しく晴れた日にオリオン座を見て「ん?なにか違う」と思ったのだった。

ベテルギウスは誕生から800万年で太陽よりはずっと若い星だけど、質量がものすごく大きいので(太陽の1,000倍あるそうです)、いつ爆発して超新星になってもおかしくない星なんだそうだ。

えっじゃあもうすぐ超新星が見られる? と、天文ファン界隈がざわついているものの、実はこういう目にみえる明るさはあんまり関係ないんだそうです。

上記記事に引用されてた天文学者は、もともとこの星は二つの周期で膨らんだり縮んだりして明るさが周期的に変わるのだが、今回はその周期が二つ重なったために非常に暗くなった、またすぐ明るくなるでしょう、と答えてます。なーんだ。

ビートルジュースが超新星として爆発したら、半年くらいの間、月とおなじくらいの明るさで見えるそうですよ!

生きてるうちに見てみたい〜!と思うのは天文学者だけではないですよね。

ちなみに藤原定家が『明月記』にかに星雲になった1054年の超新星を記録していたのが有名ですが、定家は自分が実際に見た彗星に刺激されて、こんな不思議な星(ふだんの空になく急にあらわれた大きな星は「客星」と呼ばれたそうです)が出たことはなかったか、と陰陽寮に昔の記録を問い合わせて、200年ほど昔の超新星記録を教えてもらって日記にいれておいたんだそうです。

京都学園大学の先生が書かれた面白い記事がありました。

だいたいこういう「客星」が出ると不吉とされていたそうなので、超新星が出現したとき、陰陽師さんたちは大騒ぎだったでしょうねー。
 
もともと膨らんだり縮んだりして、6年と14カ月の二つの周期で明るさが変わっているという。
もともと膨らんだり縮んだりして、6年と14カ月の二つの周期で明るさが変わっているという。



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