2017/08/11

バロウズ山の絶景と山羊クロッシング



木曜日、マウント・タコマまたの名をレーニア山のハイキングにいってきました。


高速道路から。シアトルは相変わらず盛大に煙っています。
山の上なら晴れているかと思いきや。


レーニア山の周辺も、なんだかまるで吉野の山々のように霞がかってました。
快晴なのに、空気が錆色。


アスターみたいな紫の花がたくさん咲いていました。

去年はやはりサンライズのスカイスクレイパー山に8月6日に行ったのですが、もっとずっと涼しかった。


こちらは去年の8月6日。空の色がぜんぜん違う。


今回もビジターセンターから「フローズン・レイク」にのぼり、ここから別の道をいきました。
今回は暑かったせいなのか、身体がすごく重くて、まじで倒れるかと思ったほどぜえぜえしました。

同行の息子によると、去年もその前も「死ぬかと思った」と私は言っていたそうですが、いや今回はほんとうに辛かった。
毎日30分散歩するくらいではあまりプラスになってないのだなあ。年々、ちゃくちゃくと体力は衰えているんですねー。もうちょっと身体動かさないとー。これも毎回言ってるなあ。



フローズンレイクのちょっと先の道を、マウンテンゴートが横断してました。
このあいだバラードの古物屋さんにいたのと同じヤギです。


30頭か40頭くらいの群れで、お母さんに連れられたちっちゃい子もいました。
ユキちゃん!

雪渓の上で寝そべって涼んで、道をわたって緑の野原へ。ヤギたちもやっぱり今年の夏は暑い!と思っているのでしょう。


大人のオスはかなり大きく、気が立つと向かってくるそうで、何年か前にはオリンピック半島でヤギによる殺人事件も起きているので、目をあわせず、遠巻きに見守る。


この赤いマルのなかにいるのがヤギたち。 なにかおいしい草があるのでしょうね。
ちょっと楽しそう。でも山羊には山羊なりの難しい社会があるのだろうな。


今回は、フローズン・レイクの前からのぼり道が出ているバロウズ・マウンテンというのに行きました。


去年は8月でもまだかなり雪がたくさん残っていたのに、今年は雪の上を通る場所はこれだけ。今年はほんとうに暑いんですね。

「ファースト・バロウズ」というピークを越して、ちょっと下って、もうひと登りしたところが「セカンド・バロウズ」山。
こののぼりが、辛かった。



山頂は平らで、岩の原っぱのようにひろびろしてます。
標高は7800フィート(2,377メートル)。

サンライズのビジターセンターからは、標高差1000フィートくらい。往復約8マイル(12キロ)くらいのコースです。

今回は出発したのが遅くて(うちを出たのが11時頃)、しかもトレイルの入り口を間違えてムダに登ったり下りたりしてしまったので、あるき始めたのが午後3時ちょっと前くらいという遅いハイキングでした。

山頂までは「もうダメです」と立ち止まっては休みながら、1時間30分くらい。 ヤギを見に行かなかったら1時間くらいでつけたかな。


目の前にタホマ山またの名をレーニア山が広がります。すごーい。ここまで来ると、もう死にそうに辛かったことなんか一瞬で忘れます。

左のゴツゴツしたピークは「リトル・タホマ」というそうです。


目の前にタホマ山のさえぎるもののない絶景。

パーキングから一時間ちょっとでこんなアルパインな絶景が独り占めできるこのコース、ちょっとした山歩きの気分を味わいたい方には超おすすめです。


これも広い山頂の一部。東のほうの空が烟ってました。


山頂でなにか食べていると、シマリスが食べものを盗みにきます。
人がいる>食べものがある とインプットされているらしく、おやシマリス君がやってきた、と写真を撮ろうとしていたら、迷いもせずにサンドイッチめがけて一直線に突進してきたので危ういところでひったくりました。
ついナッツなどをあげたくなるけど、餌付けをしてはいけません。



山頂でちょっとのんびりして、5時くらいに帰路へ。もうほとんど人がいない道だけど、まだちらほらと登ってくる人もいた。

夏のノースウェストは日が長いのでのんびり山歩きができますが、岩の陰から突然ヤギが出てきたらどうしようと、ちょっとだけビクビクしてました。


これはwhite pasqueflowerまたはwestern anemoneの種。
日本の「チングルマ」に似てますね。


こちら(上の写真)は2年前、6月にハイキングに行ったときにパラダイスのほう(レーニア山の反対側の山腹)で見た、花の状態。


平日だったので、パーキングも余裕でした。

毎年恒例の夏のハイキング行事になってきてるけど、できれば年に何度か行きたいなあ。
サンライズまではシアトルから片道2時間半。
もうちょっと近いといいんですけどね。


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2017/08/09

シアトルのアールデコたてもの(1)エジプト墳墓仕様のシアトル・タワー 


シアトル情報誌Soy Sourceに掲載していただいている「シアトルたてもの物語」で、5回連続でアールデコのビルを取り上げたのですが、こちらに写真をアップしてなかったので、まとめて紹介します。

Seattle Architecture Foundation(シアトル建築協会)が開催しているツアー「Diamonds & Gold: The Art Deco Skyscraper Northwest Style(ダイアモンド&ゴールド:ノースウェストのアールデコ高層建築)」で巡るビルのうち、ソイソースの記事では主だった5つを紹介しました。

このツアーに参加したのは1月。雨模様の朝で、すんごく寒かった。
2時間強のツアーだったんですが、最後のほうはもうかなり辛かったです。

ダウンタウンのたてものツアー、参加するなら夏の間がベストシーズンですよ〜!

 アールデコシリーズ1回目の記事で取り上げたのは、「Seattle Tower (シアトル・タワー)」。この上の写真の真ん中の、上が階段状になっている(ジッグラトというそうです)ビル。

住所は1218 Third Avenue。



この風景は、ツアーで最初に行く場所、レーニア・スクエアの2階から見たもの(現在レーニア・スクエアの近辺は工事が始まっているので、ここはもうツアーには組み込まれていないかもしれません)。

アールデコ様式のシアトル・タワーを囲んで、右にそれよりちょっと前のボザール様式のCobb Building(コッブ・ビルディング)、 左に1970年代のインターナショナル様式の箱型ビル、後ろには1980年代後半のポストモダン様式のタワーが並んでて、デザイン見本市のようです。

「この景色を見ると『ダウントン・アビー』を思い出すんですよ」
と、この日のツアーのボランティアガイドをしてくれたナンシーさんが言ってました。
レディ・メアリーとバイオレットお祖母様が並んでいるみたいな感じだと。なるほど。


アールデコの特徴をおさらいしました。

時代背景は、19世紀末から急激な技術革新が次々に普及し、ビルの高さもどんどん高くなっていき、アルミやプラスチックなどの新しい建材も出てきた頃。

ヨーロッパの列強が第一次大戦で疲弊しているのを横目に、アメリカが新興成金の文化後進国から世界のリーダーの地位を目指して邁進していた時代です。

アールデコはもともと1925年のパリ万国博覧会で注目された新しいデザインのトレンドだったのだけど、実はこの様式に「アールデコ」という名前がついたのは1966年になってからなのだそうだ。
へー。Hilary Gelsonという批評家が使ったのが最初で、それ以降、1925年から39年頃の様式をそう呼ぶようになったのだとか。

特徴としては、古代文明に取材した装飾と、現代性を強調するデザインが同居していること。
わかりやすいビルの意匠の特徴は
1)垂直のラインを強調している
2)セットバックがある(階段状の「ジッグラト」)
3) 装飾がたくさんある
こと。

その土地の植物などを装飾に取り入れるのも特徴のひとつで、シアトル・タワーのてっぺんにも、3本のシダーウッドをかたどったフラッグポールがあります。



こちらがシアトル・タワーの横の入り口。

寒そうでしょ。寒かったよ。冬に参加するならダウンジャケットとブーツは必須です。

ガイドのナンシーさん、まだ50代そこそこに見えるけど、「以前は弁護士だった」といってらっしゃいました。もう引退したらしい。弁護士稼業より「こっちの(ガイド)ほうがずっと楽しいわ♡」と言ってました。


外壁はテラコッタ。
27色のテラコッタを使って、上にいくほど薄い色にして、雪山を思わせるデザインに仕立てていたそうです。


アールデコのデザインが古代文明からヒントを得ていたっていうのは、このツアーに参加して初めて知りました。

ジッグラトというのも本来はメソポタミアの建築物の名前だけれど、マヤ文明のピラミッドの構造もこの名で呼ばれていて、アールデコがヒントにしているジッグラトはどちらかというとマヤ文明のピラミッドの方みたいです。

そして1922年に発見されたツタンカーメン王の墓のおかげで、1920年代は空前のエジプトブームだったのらしい。

で、アールデコにもエジプト美術の影響が濃厚だったのでした。
そういわれてみれば、このビルの名前のパネルの額縁、典型的なアールデコ様式だけど、たしかにエジプトだ。


これまでのギリシャ・ローマ〜ルネサンスを究極のお手本とする古典様式ではなく、いままでなかったもの、目新しいもの、これまでの西洋文明の系譜にはまったくなかったものを、新時代の象徴として貪欲に取り入れた形式、といえるのだと思います。

というわけで、1928年に建設されたシアトル・タワーの1階ロビーは、ツタンカーメンの墓をそのまま再現しようとしたかのようなエヅプト仕様。


建築家はこのエレベーターホールを墳墓みたいにしたいと構想していたらしく、横の入り口は、ピラミッドの横穴から潜り込むみたいな印象を狙っているそうです。
たしかにそういわれてみると、墓っぽい。

天井もピカピカ。床は何種類もの大理石でモザイクになってます。


そして一番奥の壁には、時計のまわりに世界地図のレリーフが。
「Westward the course of empire takes its way」
(帝国は西に進路をとる)
という勇ましい一文つき。

このレリーフ、微妙っていうかあんまり上手じゃないっていうか、はっきりいってヘタウマのレベルだと思う。しかもアメリカの北西岸のとこにはこのシアトル・タワーが堂々と彫られてます。かなり痛いレリーフ。しかも墳墓の中に。


大恐慌前夜の、まさに狂騒の20年代。怖いものなしのアメリカの、西のはての都市の、ビッグな夢がそのままレリーフになっちゃったって感じです。
しかしこの夢を描いた会社も今はありません。


このビルはもともとノーザンライフという保険会社の自社ビルで、ノーザンライフ・タワーという名前だったんだけど、昔は何色ものライトでライトアップされて、まるでオーロラのように輝いていたので「ノーザンライツ・ビル」と呼ばれてたそうです。

スミスタワーよりはずっと低い27階建てだったにもかかわらず、丘の上にあったので、その当時のシアトルでは一番高くそびえて見えたのだそうです。

「シアトル・タワー」って、街をしょってたつような名前がついているのも、伊達ではないのです。一時期はほんとうにシアトルを代表するビルだったんですね。

夜、港に入ってくる船から見たこのタワーは、綺麗だったことでしょう。

こちらのサイトで、建築中の写真などが見られます。

今では完全に高層ビルの間に埋もれちゃって、「どれ?」って感じですけど、じっくり見るといろいろ見ごたえ充分な、正統派アールデコの優雅なビルです。


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2017/08/08

シアトルに韓国系のあの店ができていた!


U-Districtに、Hマートが開店してました!
(て、私は知らなかったんだけど、6月の卒業式前後にオープンしてたらしいです。)

キムチの品揃えがずば抜けて幅広く、肉や野菜もお安い韓国系スーパーです。

以前はシアトルから車で30〜40分くらいの郊外にしかお店がなく、一昨年ベルビューに開店したのですが、ついにシアトル市内に進出。



…とはいっても、この店はコンビニサイズ。
典型的なローソンとかファミマの大きさです。お肉売り場はこれだけー。


野菜もこれだけー。
でもさすがに学生街だけあって、半分サイズの白菜が売ってる。大根も小さめ。
んーでも、きのこのセレクションが少ないのは残念。 エリンギはあったけどしめじがない!


しかし、コンビニサイズの店舗なのにもかかわらず、味噌と醤油のこの品揃えはどうだ!


ババーン!日・中・韓、そして台湾の醤油がすべて揃っています。
醤油・みりん・酒でこの棚は埋め尽くされ、そして反対側はというと…


ごま油と韓国味噌(テンヂャンていうの?)がババーンバーンと並ぶのです。
(ジャパニーズ味噌は、冷蔵の棚に別途並んでます)。

この立地で(ワシントン大学のすぐそば)この狭さで、この調味料の充実ぶりはどうなん?と、他人事ながら突っ込みを入れたくなりますが、Hマートといえばテンジャンと醤油!とこのコーナーを目指して来る人向けなのかもしれません。

でも数ヶ月後にお菓子とカップラーメンの棚に変わっていても驚きませんが。

私の前にレジに並んでた学生風のお兄さんは、オートバイ用のフルフェイスヘルメットをかぶったまま(これ日本じゃNGですよね)、半分の白菜と牛肉を2パック買って、袋はいらないぜ、と肉パックをわしづかみにして去って行きました。今日はお鍋かな?


こんな「スパイシースープ」セットも売ってた。
韓国・中国からの留学生がものすごく多い昨今、このロケーションは当たりなのかも。

2階には化粧品と日用品。

そして、来年にはダウンタウンのPine Streetと2ndの角にもフルサイズの店が開店するそうです。前にRACKのあったとこ。パーキングはあるのかな。楽しみに待ちましょう。

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2017/08/07

シアトルのアート・フェア


シアトル・アート・フェアに行ってきました。

この間シアトル美術館でコレクションの展覧会があったポール・アレンさんが創設したんだそうです。

場所はシアトル・シーホークスの本拠地センチュリーリンク・フィールドの隣。
この辺ほんとに行くたびにキレイになっている。新しいオイスター・バーとかオシャレなカフェとか雑貨店とかがたくさんできてました。



センチュリーリンク・フィールドの向かいにあるこのビルも、ただいま建築中。既存の古い、もう何十年も使われてなかったっぽいビルに新しく7階分をつけたす工事。

この路面もこじゃれたカフェかビストロかなんかになるんでしょうね。


ニューヨークなど東海岸のギャラリーもいくつも出展してて、盛況でした。

この茶色い箱は、センターピースのひとつ。
Mary Ann Peters さんの 『the world is a garden, the walls are the state』。


アラミド繊維の網のスクリーンでできた箱の中に、クレイとアクリルの花が入っていて、網をとおして角度によって中の花が透けてみえる、幻想的な箱。


草間彌生さんの作品もいくつもあった。


John McCrackenさんの「黄色い板」。1968年のミニマリスト作品。
こちらも草間さんの作品と同様、ニューヨークの超有名ギャラリーの出展でした。

これは飾る場所を選びますねー。散らかった部屋にあったら単なる作りかけのIKEAの棚板だ。

こちらはお値段出てなかったけど、この板は20万ドルくらいでしょうか。


こちらはFay Jonesさんのドローイング。好き♡ 売約済みの赤い丸が貼ってありました。
28,000ドルなり。

若いアーティストの数千ドルの作品から、世界的に有名な人の美術館クラスの作品まで、けっこう売れゆきよさそうだった。

最近シアトルに引っ越してきて、お家やコンドミニアムを買って、さてリビングに飾るアートでも買おうか、なんて感じの若いカップルも(勝手にシナリオ作ってますけど)多い感じ。


これはTracey Snellingさんの作品で、ロサンゼルスあたりにありそうなモーテルの部屋やアダルトショップ、マッサージショップなどを再現したミニチュアハウス。
写真撮ってる人が多かった。



Wolf Kahnさんの納屋。すごくキレイな色。
このギャラリーはサウスカロライナ州から参加で、アンドリュー・ワイエスや父ワイエスの作品も出展してました。


銀行や不動産屋さんのお得意様用エクスクルーシブ・ラウンジがあり、シャンパングラスを片手に鑑賞している人が多い。
美術館とは違う、「屋台」的な感じが面白かった。


この人すごく好き。Sarah McRae Mortonさんという、ペンシルバニア出身のまだ30代の画家さんで、歴史的モチーフを使った幻想的なストーリーテリングと、抑えた色に勢いのある筆使い、鮮やかなイメージ。クリス・ヴァン・オールズバーグの絵本に出てきそうな感じの場面。


シアトルのFoster White Gallery で取扱い中です。お値段は5,000ドル〜20,000ドルくらい。ダイニングの壁にいかが? 


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