2016/07/13

バンクーバー経由でシアトル帰着時の入国検査など


きのう、日本からシアトルに帰ってまいりました。

気温は20度Cを下回る!さむぅ! 家の中で長袖と靴下が必要だなんて。夢のようだ!
スーパーの花売り場も、もはや秋の気配。

東京ではできることなら何も着ていたくない蒸し暑さでした。外を5分歩いただけでTシャツが絞れるほど汗かいた。


今回は2年ぶり、1ヶ月の滞在でした。
仕事上でもプライベートでも、予定していたより多くの人に会えて、予定していたより多くの場所に行けて、疲れたけど嬉しかった。

ほんとに困ったおばさんであるのにもかかわらず、わたしの周りには信じられないほど心優しく面白い人びとがなんと多いことかを再確認。感謝。いろいろご迷惑おかけしました。

息子は2週間滞在して先にシアトルに帰ったので、帰りはひとり。そのため大荷物を持って帰るのが使命。

はらんだセイウチのような有機的形状になった大型スーツケース、靴と本を極限まで詰め込んだ古いレスポのバッグ(息子がサイズ10.5の靴を2足忘れていったためさらにかさばった)、機内持ち込みの小型スーツケース(規定の10キロを2キロ上回り空港のチェックインカウンターで大汗かいて詰め替え)、そのほかにラップトップと身の回り品をエコバッグにぎゅうぎゅう。えぇ、いつも荷物の多い女です。

便座のようなかたちの品物は、アメリカ人がよく空港で首からさげて歩いている携帯まくら。かっちょ悪いけどこれは快適でしたよ。歩く時とても邪魔だけど。


帰りはボーイング777でした。
もちろん窓側座席を指定したのに、翼の真上だった…。

でもこの矢印とリベットが並ぶ翼の金属板がカッコ良かった。リベット萌え、矢印萌え。

アラスカのアリューシャン列島につづく半島を通過するときには、きれいな円錐形の火山がみえた。アニアクチャク山というらしい。コディアック島という島では、夢のような水色の入江が入り組んだ景色が広がっていました。ああ行ってみたい。


成田からバンクーバー経由、4時間のレイオーバーは長いと思ったけど、セキュリティを通って入国審査を受けるのに1時間以上はかかったので、2時間以内だとかなり忙しいかもしれません。

バンクーバーでの米国入国審査は、簡単でした。税関と入国審査が一体になっていたらしい。

預けた荷物を一度ピックアップして税関に持っていかねばならないのかと思ったら、入国審査官がパスポートや書類をチェックしながら預け荷物のナカミを画面で確認していたようです。
よほど怪しいものがあれば別室に連れていかれるのだと思うけど。

今回、先に帰った息子にパナソニック製のフィッシュロースター「おさかな煙らん亭」を預け荷物として運ばせたら、入国審査で
「いったいこれは何だ」
と質問されたと言ってました。

さらに電圧変換機を入れたスーツケースは開けてチェックされたあとがあったらしくテープが貼ってあったそうです。
20代の若者がコイルが詰まった機器をスーツケースに入れてたら、それは怪しかったに違いない。でも別室に連れていかれることなく無事通過したそうです。

靴と本をパンパンに詰めたバッグを開けろと言われたら詰め直すのに20分くらいかかるかもしれないなあと憂鬱だったのだけど、そんなわけで、シアトル空港到着まで荷物は見ずに済みました。

右腕に大きなオレンジ色の鯉の刺青をした入国審査官に
「ほんとにまだ米国に住んでいるのか」
と威圧的に聞かれた。
「どのくらい行っていたの? 1ヶ月? ずいぶん長いね」
「えー、短すぎですよー」

グリーンカードであまり長く国外滞在すると色々言われるのでしょう。今のところそんな心配はないが。 半年くらい日本に住みたいけどなあ。



エアカナダのエコノミー席、行きの便の機内食はとくに記憶に残ってなくて、かろうじて食用に適するレベルだったと思う。帰りの便は意外においしかった。れんこんまで載ってましたよ。
でもお茶はおいしくない。成田でペットボトル入りを購入がベスト。


朝食は鶏入りおかゆ!さすがチャイニーズの多いバンクーバー便。これは嬉しゅうございました。ニュージーランド製バターもおいしかった。 完食。

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2016/07/12

川からはじまる話(奥の細道 隅田川べり)


今回東京で泊まったホステル、Nuiの廊下の窓からの眺め。

眼の前に 「馬獅子商会」という謎の家があった。なんの商売なんだろうーー。
その後ろの川沿いの家からは、毎朝、手拭いを姉さん被りにしたお婆様が出てきて打ち水をしてました。

うちの息子は「authenticな日本のおばあちゃん」と呼んでいた。


この頃はまだ到着1週間目で時差ボケのまま早朝が絶好調で、朝の川辺の散歩が快適でした。まだ暑くなかったし。

隅田川は高度成長期にはすっかりドブ川のようになってしまって異臭をはなっていたそうですが、だいぶ改善され、散歩コースに整備されてました。

東京から失われてしまった水辺を取り戻そうと考えている人は多いようです。
ほんとに東京は、実は水の都だったのに。



 蔵前橋。

 関東大震災のとき、この近くにあった被服廠跡という広場に避難してた人びとが何万人もいちどに亡くなり、東京大空襲でもこのあたりは火の海になった、悲惨な歴史を持つ場所でもある。


芭蕉先生の『おくのほそ道』 も、隅田川の深川付近が出発地。

蔵前の宿を予約したときにはそんなこと意識してなかった(ていうか、知らなかった……)のに、隅田川べり〜仙台〜立石寺〜松島(通過)〜平泉という旅行ができて、順番は違うけど(芭蕉先生は平泉のあと山形から立石寺に行ってます)足あとを少しだけたどることができました。



「あけぼのの空朧朧として、月はありあけにて光おさまれるものから、ふじの峯かすかにみえて、上野・谷中の花の梢、又いつかはと心ぼそし」。というのが『おくのほそ道』の隅田川を出発するときのくだり。

芭蕉先生とお弟子さんはこの辺(もうちょっと南だけど)からお見送りの人たちと船に乗って千住まで遡り、そこからみちのくへの道を歩き始めています。

時は3月末、新暦で4月の末。

川下の遠く南西のほうには富士山が白く見え、行く手の左岸には「上野・谷中の」花が豪勢に咲き誇るのが家々の屋根越しに見えたという。遅めの桜なのか。

両岸はどんな景色だったんでしょうね。銀色の瓦屋根、柳の新緑、渋い色の板塀、緑の土手を想像してみる。

 「春のうららの、すみだ川」という歌、小学校で歌ったときに、きれいな言葉だとは思ったけれど歌詞のイメージはまったく意味不明でした。

春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂(かひ)のしづくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を
錦おりなす 長堤(ちょうてい)に
暮るればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとふべき

なんとのどかで、美しい景色であることよ! 見てみたいよ!!

芭蕉の頃からこの唱歌が作られた明治の頃まで、川辺の眺めはそれほど変わってなかったのに違いない。「一刻千金」のながめが広がる川辺だったんですねー。

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2016/07/08

公園のウナギとスタバ、コルビジェとゴーギャンの浜辺、ポンピドーセンター展


宿で自転車を借りて、蔵前から上野公園へ。合羽橋とアメ横をとおって20分くらい。


レンタサイクルもオサレな細身のハンドルまっすぐな自転車(右の2台です)。
わたくしはママチャリのほうがよかったのですが…。だって足とどかない(´・ω・`)。

かなり一生懸命息子の後を追った。
こいでるうちは楽しいけど止まると足のやり場に困る。

そして上野の人混みで転倒!!     (´・ω・`)。

もう2度とオサレ自転車なんか乗らん。


上野公園の真ん中にスタバができててびっくり!
都美術館の「ポンピドゥー・センター傑作展」を観てから公園内の伊豆栄へ。



去年、ご一緒にお仕事させていただいた浅草育ちの企業コンサルタントさんに、うなぎを食べるならここ!と教わった伊豆栄の梅川亭。

伊豆栄はもう1軒あるけど同じ値段でこっちのほうが眺めが良いというお勧めでした。

精養軒のすぐちかく。

たしかに、緑に囲まれたステキな環境でした。
漱石先生の時代からある老舗で、漱石の小説にもたしか、誰かが鰻をあつらえる場面が出てきたような気もする。


お昼は2時半まで。観光客向けのお商売で、サーブしてくれた和服のお姉さんはとても感じが良かったけど 、器に水滴がついたままだったりするところがけっこう雑な老舗でした。
お客さんの半分くらいが、外国の人だった。

鰻重はもちろん、おいしゅうございましたよ!


鰻を食べたら、さて午後の部。次はル・コルビジェ設計の西洋美術館へゴー。

自転車で上野公園を徘徊できるなんて、なんて幸せなんだ。もし短期でも東京に住む機会があったら、ぜひこの辺に住みたい。


こちらは常設展の松方コレクション。何十年も前に何度も見ているけれど、うちの青年にも見せてやらねばと。


モネの絵がもっとあったように記憶していたけど、睡蓮は1枚だけだった。

ゴーギャンさんの小品が素敵でした。19世紀の水着はフルカバー。水に濡れたら重かったことでしょう。


ゴーギャンさん、ブルターニュ時代の作品。色がすでにタヒチ。


こちらは70年代に増築された新館。高い天井の照明が素敵。
一見、スカイライトのようですが、蛍光灯でした。


シアトルではあまり見られない美術作品をよく見るように、というのが青年の夏休みの課題。東京は、世界一文化施設が豊富な都市ですよね。


フェルナン・レジェの威張ったニワトリ。なにをそんなに怒っているのだ。


都美術館の『ポンピドゥー・センター傑作展』のほうも、とてもおもしろかったです。

20世紀初頭から現代までのポンピドゥー・センター所蔵作品の中から、1年に1作品を選択して展示。全体を通して、怒涛の20世紀がアートで体験できる構成になっています。

作品とともに作家の言葉が展示されているのも、とてもよかった。

たとえばマティスの作品には
「I feel through color.  Therefore, my canvas will be always organized by it」
(私は、色を通してものを感じ取る。だから、私のキャンバスはいつも、色で構成されているのです)
という言葉が。

でも一番心に迫ったのは、1945年のコーナーの展示でした。

原爆が落とされ、ドイツと日本が降伏し、信じられないほどたくさんの人が死んで、第2次大戦が終わった年。

この年を代表する作品は展示されておらず、その代わりにからっぽの白い壁の上に設置されたスピーカーから、この年に書かれたエディット・ピアフの「ラ・ヴィアン・ローズ」が流されていました。
もう号泣。

全体に会場の構成がすごくカッコ良かった。壁の色や照明とかも。
ただ、最後の現代の部屋はちょっと見づらかった。


アートの変転とともに、20世紀の歴史が迫ってくる展覧会でした。

出口にリサとガスパールがいた!展覧会始まったばっかりで、まだリサ&ガスパールのグッズは売ってなかった(涙)。8月に売り出すそうです。会期は9月22日まで。


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川辺の宿


東京では4日ほど、息子と2人で蔵前のホステル「Nui」に泊まりました。
隅田川がすぐ目の前、浅草まで自転車で10分くらいの便利なロケーション。
地下鉄で神保町にも銀座にもドアツードアで30分もあれば余裕で行ける幸せ。


いつも東京西部の弟の家に滞在するのだけど、やっぱり都心まで1時間強かかるのが辛くて、下町に泊まってみたかった。


1階はカフェ&夜はバーになってて、週末の夜など超満員の盛況でした。
泊まってるのはヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国からの観光客と、日本の人が3割くらいの感じ。


ツイン(二段ベッド)ルームで7200円/泊。相部屋のドミトリータイプなら3000円台。
トイレとシャワーは共同で24時間使えます。


非常にコンパクトな間取りがチャレンジでしたw


内装のディテールが手作り感いっぱいなのだけど可愛くて、いろいろ和みました。


最上階は共同スペースで、キッチンと読書室&食堂。


 この70年代な電気スタンド!


雨の日はここで少し仕事。なごむー。


スタッフは20〜30代。皆とても明るくて感じの良い子ばかりで、海外に住んだことがあったり、これから海外で何かしたいという夢を持っている人が多いのだそうです。 自分は音楽をやっているという男性スタッフが話してくれました。


うちの息子はすっかり気に入ってしまって、ここでバイトして東京に住みたいとか言い出した。をい。


コーヒーと自家製クロワッサンもおいしかったですよ。

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2016/07/07

おもてなしミスト

ポストモダンな京都駅。


この吹き抜けの2階部分にあるカップ型ストラクチャーがブラジャーに見えるのは私だけでしょうか。



殺人的に蒸し暑かった日、四条のバス停にも京都駅にも、イチゴ畑のスプリンクラーみたいな装置から霧がまかれていました。

京(みやこ)のまちなかミスト」という「京都の夏のおもてなし」だそうです。
風鈴も取り付けられて、死人が出るレベルの暑さの京都にのこのこやってきた観光客の苦痛を少しでも和らげようという心遣い。

たしかに、打ち水のように、ないよりは涼しげ。しかししょせん、「焼け石にミスト」。

もうちょっとコンクリを減らして緑と水を増やすとか抜本的な対策を考えてはいかがでしょうか。

京都駅前のバスのりばに竹やぶがあったら素敵だと思うけどなー。

ちょっと大きめの鉢植えでも可能でしょ。そして清流を流してはどうか。子どもたちも水遊びができるように。

超暑の日も鴨川沿いと高瀬川沿いは涼風があってほっとしました。


日本の美しい壁。(河原町正面の渉成園、築地塀)
瓦と土がサンドイッチになっている。すばらしいテクスチャー。かっこええー。

ぜひこのような景色を京都駅前に! ぜったい数度は涼しくなる!

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エコノミー弾丸京都


冗談じゃないくらい蒸し暑い東京です。東京滞在もあと数日。

息子は先にシアトルに帰ってます。

先週は関西に行ってきました。京都もサウナのようだった。

友人R子さんが鴨川ちかくの素敵なコンドミニアムのお部屋を、使っていいよー、と言ってくださったので、ありがたく使わせていただき、2日間だけではありましたが京都に住んでる人の気分満喫。うれすぃー。


下京エリアのお宅。
R子さんの自転車を借りて朝から弾丸散策。 京都は碁盤の目なので迷子になりにくい。


星マークの神社に行き当たる。安倍晴明神社です。

白と紫の桔梗が満開でとても綺麗だったのだけど、写真撮り忘れた。

桔梗は「晴明桔梗」紋のモチーフなのだそうだ。

安倍晴明さんといえば、岡野玲子さんの描く『陰陽師』の美しい顔で焼きついています。
ていうかその他にはあまりにも何も知らない。すみません。


おひる、前々回のIJETでお会いした翻訳者Hさんと再会。

愛する錦市場の中にある黒豆専門店にて、すべてが黒豆でできている、美しい豆ランチ。


 テーブルには巨大「石臼」がおいてあって、デザートのわらび餅にかけるきなこは、黒豆をもらって自分でぐるぐるして作成するシステム。なかなか楽しい。

 美しい黒豆きなこ。


食後に錦市場を散歩。漬けものとか干物とか買って帰りたいー。

前回ここに来たのは10年以上前。息子がまだ小学校4年くらいのとき、まだ元気だった母と来たのでした。あのときは干物を東京に買って帰って、母が焼いてくれたのを食べた。

10年前と比べると、圧倒的に外国人観光客の数が増えたなー。

市場には天神さんもある。


ただ単に町を歩いたり自転車に乗っているだけで、サウナにいるみたいに背中に滝のような汗。
毒素を出しきったかしら。


夕方は昭和な珈琲店「六曜社」のカウンターで、 ちょっとビクビクしながらラップトップを開いて仕事をさせていただきました。

「…すみません…おじゃまでなければ、この場所使わせていただいていいですか」と超丁寧に尋ねるわたくし。こういう喫茶店でノートパソコンなんか開くのはちょっと邪道って気がしながら。すみませんすみません。


夜のひとりごはんはカレー。
京都本でみつけた、四条のカウンター7席しかないカレー屋さん「カラヒカレー」。
「チキンカレー、チャイつき」1,000円と大盛り+200円しかない、きわめてシンプルなメニュー。

武士みたいに寡黙なご主人が一人で仕込みから黙々とやってるお店。

とっても真面目な味のカレーでした。チャイもおいしかった。かかってる音楽も多彩で。
居心地よくて、いろいろ滋養をいただけたお店でした。また行きたい。


お店の隅に下がっていたランプが素敵だったのでご主人にきいてみると、瓢箪を使った手作り品で、ご友人が開店祝いにプレゼントしてくれたものなのだそうです。

穴をあけてガラスビーズを埋め込んであるのか。本当に綺麗で、幸せな空間を作ってました。


雑居ビルにあって入り口がとても控えめなので見つけるのに苦労しました。
超控えめな黒板が目印です。階段をあがってすぐ左が入り口。

階段の代わりに冷蔵庫サイズのエレベーターに乗ると、2度と生きて表に出られないのではないかというようなスリルが味わえます。


夜は高瀬川沿いの銭湯「サウナの梅湯」へ。銭湯大好き!

男湯と女湯の間は天井部分があいていて、男湯からも話し声や桶のカラーンという音が聞こえてくる、昔ながらの正しい銭湯。

天井に色硝子(実はプラスチックなのだとか)がはめ込まれた大正モダン風の内装は、最近のものなんだそうです。20代の経営者がやってるレトロでファンキーな風味の銭湯です。サウナはあっつあつ。

フルーツ牛乳はなかったけど「マミー」を買って飲みながら帰る。ああ至福。
超エコノミーながら満足度120%。幸せすぎる京都の夜でした。

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