2013/11/23

登録サバイバル



きのう朝、うちの息子は5時半からインターネットに向かってた。

目的はクラスのレジストレーション。来年1月から始まる大学1年の2学期目で取りたい数学と化学の基礎クラスがすごい競争率で、500人ぶん以上の枠があるのに、ほかの優先枠の学生(単位を規定数以上取って卒業に近いほど優先になる)が取ったあとにはほんの20くらいしか空いてない、席の争奪戦なんだそうです。

朝5時55分だかにクラス登録がオープンになるので、みんな早朝からスタンバイしてるとか。

回線が混み合ってなかなかログインできず、結局ログインできた時にはもう1つも席は残っていなかったといって、おれはどうすればいいんだー!と、朝から超ブルーになっていた。


500何人かのうちの1人が登録を取り消せば席が開く。空席ができたらメールでお知らせをしてくれるリストに登録していても、ほぼ空いた瞬間に埋まるので、きょうは一日じゅうメール受け取っちゃログインして撃沈の繰り返しだったそうです。

今年は特に新入生の数が多くて、1年の基礎クラスの奪い合いがはげしいらしい。

これは商売になる。

と思うのは私だけではないようです。

登録画面にアクセスし続けるボットを作成して売る人とかも当然いるようで、クラス登録の画面にしつこくログインして画面を更新し続けていると、強制的にシャットアウトされるんだとか。
ほかにももっとあこぎな商売が成り立ってそうな気がするなー。


UCLAその他、カリフォルニアのマンモス校ではもうかなり前から学生数に対して必修単位のクラス数が少なすぎ、真面目に通ってもクラスに登録できないために4年間で卒業できない学生続出、というのを何年か前に聞いた(だからカリフォルニアからワシントン州に来る学生が増えたとか)けど、同じ傾向になってるのか。




日本の大学の事情はまったく分からないんだけど、どうなんでしょう。日本の大学って入るのは大変だけど、入ってしまえば割合に卒業まで行き届いた面倒を見てくれる感じがする。

アメリカの大学はクラス登録からして生存競争だ。


要領が良い子は絶対先回りしていろんな手を打ってるはず。高校の続きでぼーっとして誰かが助けてくれるのを待ってても、誰も親切に手伝っちゃくれないのだ。まあこれも勉強だ。頑張れ息子。

写真は数週間前のグリーンレイク、秋の最後のゴージャスな一日。
もう今は、葉っぱもすっかりなくなって、本格的に冷え込んできた。


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2013/11/21

昭和なタイマー




タイマー買ってきた。


1週間頑張っておしごとが終わったら買ってもいいことにしていた、前から欲しかったキッチンタイマー。

特に意味なし。

電子レンジについてる、ぴっぴと押してピーっと鳴る電子音のを使ってたんだけど押すのが面倒なのと味気なかったので。

電池もなんにもいらない、このネジ式の、頼れるかんじのがほしかった。

じりじりーん、という昭和の黒電話のような、間の抜けたゆるい音が、なごむ。


15ドルなり。フィニー通りのファニチャー&キッチン用品店にて。
われながら、意外に安上がりなモチベーションである。

この店には直径10センチくらいの「まりも」があって、心惹かれている。これは75ドルなり(容器込み)。



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2013/11/18

ディスカバリー・パーク


いやはやもう11月も半ばを過ぎてしまいました。て毎日そんなんばっかり言ってる。

ずうーーーぅっと家に座りっぱなしのこもり仕事なので、時間をつくって外を歩かないとなー。

と思い立って行ってきたある日(といってもかなり前ですが)のDiscovery Park (ディスカバリーパーク)。
うち(バラード)からは、近いような、そうでもないような、マグノリア地区。

直線距離だと近いんだけど、ここ入口が意外に、主だった通りから離れてる。
くねくねとした道を住宅街の中を通り、公園の中に入っても、またアプローチが長い。

そしてかなりとんでもなく広い。

216ヘクタール。

東京ディズニーランドの約5倍。

そして特になにがあるわけでもなく、犬が遊べる野原と、林の中のトレイルと、トレイルを抜けていくとピュージェット湾沿いに狭いビーチがある、自然公園。

トレイルはかなり整備されてるものの、標識はあまりアテにならず、マップなんか全然ないので勘が頼りみたいな手探り状態で、すこし迷った。
駐車場からビーチ沿いまで軽く片道30分はかかるので、手軽な散歩ってつもりが、結構なハイキングになってしまった。
 


ピュージェット湾に突き出たウェストポイント岬に灯台がある。

この公園も、19世紀末にできた古い陸軍基地だったところを70年代に払い下げて市が公園にしたものだそうで、シアトル市も貰ったはいいけど広すぎて困惑したのではないだろうかと思うくらい広い。

シアトル市ではここの次に広い Magnuson Parkも、もと海軍航空基地で、やっぱりあまりに広くてとりとめがないような公園。

市街地に隣り合ってこれだけの広さの公園が2つもあるってすごい。
軍事施設でもなかったら、今頃はとっくに細かく仕切られて宅地にされているはず。

行き届いた施設などあまりなしに、ぽーんと放りだしてあるようなありさまが、シアトルらしい。

これは夏場の、ビーチのあたりの景色↑です。マドローナの木が生えていた。

シアトル市の公園サイトにはこんなふうに書いてある。

The role of Discovery Park is to provide an open space of quiet and tranquility away from the stress and activity of the city, a sanctuary for wildlife, as well as an outdoor classroom for people to learn about the natural world.
(ディスカバリー・パークの役割は、都市の喧噪とストレスから離れた静かで開けたスペースを提供し、また野生動植物のサンクチュアリとなり、同時に、自然の世界について学びたい人々のための野外教室となることでもあります)


ビーチ方面に降りて行く坂は、いきなりレインフォレストのようになっているし、砂地の崖もある。
野外教室だけでなく、軽くサバイバル訓練もできそうな公園です。



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2013/11/16

『Gravity』 無限空間のとんでもない孤独  


映画『Gravity』を観に行ってきました。

映画館ひさしぶり。アメリカでも映画、高くなった。数年前までは大人5ドルくらいだったのに、これなんか3Dで観たら15ドル。 この映画があんまり良かったので息子に(もうさいきん、ママと映画なんか見に行ってくれないので)カノジョと一緒に見てきなさいとちょっと太っ腹なところを見せたら、ううう2人で30ドルかよー。高っ。

映画館に客行かなくなる>値上げ>ますます映画館に行く人が減る  という、日本と同じ道をたどっているのではないでしょうか。
 


映画のストーリーはすごくシンプル。 宇宙ステーションで不慮の事故があり、宇宙飛行士の科学者(サンドラ・ブロック)がさんざんな目にあう。登場人物はサンドラ・ブロックのほか、同じミッションのもう一人の宇宙飛行士(ジョージ・クルーニー)の2人だけ、という本当に超ミニマルなセッティング。

舞台は地球の衛星軌道上。地上372マイル、約600キロ。半島の形や都市の光が、さわれそうなくらいにくっきり見える。

青い大気の層に包まれた地上が信じられないほど美しい。

CGではあるけど、地球を見下ろす疑似体験ができる映画だった。

サンドラ・ブロックの宇宙飛行士は事故にあって、地上に戻るために何もない空間を一番近い宇宙ステーションへ「泳いで」わたらねばならないのだが、私は閉所恐怖症の傾向があるので、もうこれは絶対に絶対に絶対にわたしには耐えられないとおもった。

広大な。
 
という概念を上書きせなばならないほど広大な空間の中で、自分を包む小さな宇宙服の中にしか、自分が生きられる環境がない。

これは閉所恐怖症には考えられうる限り最悪の逆パターンである。
ものすごく広い空間が広がっているが、自分がいられる場所はヘルメットの中の数センチだけ。
考えただけでパニック・アタックが来そうだ。

サンドラ・ブロックの宇宙飛行士は泣きながらこの孤独に耐えて行くのだけど、私は見ながら何度も「ああ私だったらもう間違いなくこの瞬間に死んでるよ」とおもった。

周囲何千キロにもわたって、1人の人間もなく、自分の吸う空気さえもない。これ以上の孤独はない。

目の前には、文字通り、無限に続く空間がある。 無限である。マジ無限。本当に果てがないのだ。

そうして、足もとの地球を覆う青い水と酸素の層の、なんと薄く、はかないこと。

不注意に落としたらたちまちぱりんと割れてしまう薄いガラス玉のようだ。

生命がいられる場所というのは、このとんでもなく無関心な冷たい無限の暗闇の中で、この薄いはかない、あるかなしかの層だけなのだ。

ということが、ひしひしと感じられる映画だった。

水蒸気の層に守られて生活している私たちはふだん、こんな無限の暗闇を見なくても済んでいる。何もない空間の圧倒的なボリュームの中で、私たちの世界のすべてはシャボン玉の皮のようなものの中で始まって終わる。

そしてこの、私たちの生命力というのは一体なんなんだろう、なんてことも考えてしまう。


日本では12月13日から公開されるそうです。

邦題『ゼロ・グラビティ』というのはちょっと意味が違う気がするなー。

『Gravity』は、重力圏で展開する物語なので、生命が存在できないほど地上から離れていても、舞台は地球のうちなのだ。

たしかに方向を間違って 力が働くと無限の方向に飛び出していって行ってしまうほど、重力の働き方は地上に比べて弱い。でもちゃんと宇宙ステーションも宇宙飛行士も、がっしりと地球の力に捕まえられている。

広大な空間に放り出された1人ぼっちの宇宙飛行士が感じる地球の重力、生命が存在できる地上から引っ張られる強い力(物理的にも精神的な意味でも)、というのが、この映画のテーマだと思うからだ。

 お奨めです。絶対大画面で。できれば3Dで。






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2013/11/12

黄泉の女たち 


11月2日(土曜日)、舞踏の公演はTaoist Studies Instituteにて。

第1部は『黒髪』。
動画はこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=hZBIYXl-sQQ&feature=youtu.be

影が、迫力ありました。


めちゃオーソドックスな地唄ですが、舞はもちろんBUTOH です。


千種さんの美しい唄声と寂しい三味線に、時が止まる女、遠ざかっていく影。

わたし今回思ったことですが、「完全に静止」する姿が出来るというのは、すごい。
舞踏家はまるでそこの空間に切って貼られたような形を瞬時に体でつくることができる。


イーストビレッジよしこ氏の作品は、今回もどえらい完成度。ほんとに毎回パワーアップしてはります。どうこれ? 

(追記:…と書いたら、よしこ氏から「これは4年前の作品です」と静かな怒りのメッセージを頂いてしまつた。あわわわわ。大変失礼いたしました)

カメラは今回は6年くらい前に買ったキャノンG9を引っ張り出してきました。パフォーマンスの時は、一眼レフだとカシャカシャとシャッター音がうるさいため。使い方忘れてしまってマニュアルも持参。
G9、小回りのきく奴なんだけどISOの高い絵は苦手なんだよね。なのでかなり粗い画面です。
 


第2部、黄泉の国から来たガールズ。


こーーーーわーーーーいーーーー。真剣に怖いですよ!


下駄の音がかたかたかたと無情に響く。


第2部後半には、観世音菩薩の登場。いや、もしかして鬼子母神?


衆生を救うのか迷わせるのか、ただゆらゆらと無関心に通りすぎるだけなのか。

ああこの人、どこかで見たことがある。山岸凉子の作品にでてきた人みたいだ。ぜんたいになんとなく今回は山岸凉子が3Dになったみたいでした。






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2013/11/09

コパチャック公園


なんだかんだと右往左往じたばたしている間に、気がつけば11月が始まってました。
うわー。

これは先月ちらっと行った、Kitsap 半島のねもと近くにある、Kopachuck State Park。
この小さな島も州の公園の一部です。


駐車場から、ダグラスファーやレッドシダーの大木の間をゆるゆると数分下っていくとピクニックエリアのある小さなビーチがあって、インスタントなハイキングが楽しめます。

以前はキャンプもできたのが、ダグラスファーに病気がはびこり、倒木の危険があるため現在はキャンプ場は閉鎖中。




「コパチャック」って、「チャペック」さんみたいなチェコのあたりの人の名前かと思っていたら、全然違った。

このあたりの部族と白人の間で使われた貿易言語の「チヌーク」言葉で、「水辺」という意味なのだそうです。


ピュージェット湾の一番奥まったあたりにある、静かな湾です。
ねこの額ほどのビーチは、満潮になるとほとんど水没。

冬の鳥たちがもうちらほらと来ているようでした。


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2013/10/30

クボタ・ガーデン



Soy Source (10/25号)でもご紹介しましたが、窪田ガーデンに行ってきました。


前から気になっていた、サウスシアトルにあるジャパニーズガーデン。




新しい立派な門が。

ここは、日系の造園家だった窪田ファミリーが20世紀前半からこつこつと築いてきた庭園で、1987年になってシアトル市が買い取り、公園にしたもの。

年中無休、無料公開です。(日没閉園)
 


窪田ファミリーの一代目はフジタロウさんという高知出身の親父さんで、1907年に20代でアメリカに単身わたってきて、独学で造園を学んだという人。


当時のアメリカでは、日本人だったらほとんど無条件で誰でも庭師になれたなんて話を聞いたことがある。
かつての日本で英米人なら誰でも英会話教師になれたのと同じような大雑把さな話だけど、細やかな草木の手入れというのは日本の農家の息子であってみれば当然の基礎教養だったのでしょう。


シアトル市内外の造園業で成功した窪田フジタロウさんは、ここに広大な苗木園と自宅を構え、家族とお客さんのために少しずつ庭園を増築していったところに、第二次大戦が起こり、家族そろってアイダホの収容所に送られた。

戦争中の4年間、この庭園は放置されていたそうです。

終戦後、息子さんと一緒にまた造園業を再開、庭園にも築山を作ったり滝を作ったり、充実させていった。フジタロウ氏(と息子さんも)ライフワークだったんですね。
 

この庭園は、「作品」としての精緻な日本庭園じゃなくて、大木が囲み、ピクニックに最適な芝生広場もあり、あちこちにベンチが配されている、おおらかなガーデン。



ここも70年代後半、フジタロウ氏が亡くなった後でデベロッパーがコンドミニアムにする話もあったのを、有志が働きかけて市の歴史的ランドマークに指定、のちにシアトル市が公園として買い取るまでいろいろコミュニティが働いた。
開発を阻止するために歴史的建造物とかランドマークに指定してしまうというのは、60年代後半からパイクプレイスマーケットなどいろいろなところで使われてきた手段。

こうやって長く近所の人に愛される庭を遺すというのは、なかなか素敵な人生だ。



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