2012/02/29

ご近所ベーカリー HONORE


クロッカスが咲いたとおもったらまた急に寒くなって、昨日今日は雪もちらついていました。
ゆっくりできる朝は、近所のパンやさんへお散歩。


 HONORE Artisan Bakery は、住宅街の中にちょこんとあるベーカリー&カフェ。
うちからはタテヨコ約10ブロックほどで、ゆっくり歩いて片道30分弱のお散歩コースです。

椅子席はカウンターが5席ほどだけですが、来ているお客さんがいつもとってもオシャレにみえる。 この日も、スティーブ・ジョブズ風の男性が(髪が薄くて黒いタートルネックだとジョブズ風に見えてしまうw シアトルにはそんな感じのお父さんが多いです)、ペストリーを食べながら難しそうな本を読んでいたり、 小さな女の子をつれたお母さんの押しているベビーカーもクラシックだったり、なんだかヨーロッパの風が〜。


スコーンはふつうにおいしい。グージェールという、シュー生地にチーズを練り込んだパンがわたしは最近お気に入り。

最近はケーキやタルトもあり、欧州風のこってり濃厚味です。
ここは時々、パンの出来に少しばらつきがあるような気がするのですが、とにかく気分はとてもオーセンティック。ご近所にこれだけ優秀なベーカリーがあるのは幸せです。

Honore Artisan Bakery 
1413 NW 70th St Seattle, WA
水曜日〜金曜日 7時〜4時、土曜日&日曜日 8時〜4時 


この一角は住宅街の中にある不思議なミニチュア商店街。隣は夕方だけ営業のビストロ、その隣は傘屋さん、向かいはアートスタジオと小さなレストランです。

ここを通るたびに、昔読んだ『霧のむこうの不思議な町』というお話を一瞬思い出すのは、この煉瓦の建物に入った傘屋さんのせいかもしれません。主人公の女の子はピエロの顔の傘を追いかけて、不思議な石畳の町に迷い込むのでしたね。


おまけ。帰り道、鼻つき電柱発見。





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2012/02/28

Concussionは「脳しんとう」?


昨日の日曜日のトーナメント決勝戦で、サッカークラブのシーズンが終わりました。
(息子のチームは決勝戦で負けてトーナメント準優勝でしたが、良いシーズンでした)
来週からは高校のほうのサッカーシーズンが始まります。

アメリカの学校のスポーツはシーズン制で、シアトルの公立校の男子スポーツだと、フットボールは秋(9月〜11月)、バスケットボールと水泳は冬(12月〜2月)、サッカー、野球、ラクロス、陸上は春(3月〜5月)です。

クラブでも学校でも、サッカーなどのコンタクトスポーツに参加する時に必ず書かされるのが「Athletic Concussion Information Form」。

Concussion が起きた場合の症状や対処法などの情報が列記してあり、本人も親も読んで理解しましたという署名をしないと、そのスポーツに参加する許可が出ません。

Concussion は辞書の訳語では「脳しんとう」と載っていますが、日本とは少し定義が違うようです。

AAFP(アメリカ家庭医学協会)のサイトではConcussion を「Mild traumatic brain injury」と定義して、3レベルに分けるガイドラインをいくつか紹介しています。
学会によって微妙に違うのですが、米国神経学会のガイドラインでは以下のとおり。

レベル1:意識喪失も意識の混濁もなし。頭痛など何らかの症状があるが、15分以内でおさまる場合。
レベル2:意識喪失はなし。記憶障害など意識の混濁があり、症状が15分以上続く。
レベル3:長さに関わらず意識喪失があった場合。重度のconcussionとみなされます。

「頭をぶつけて、少し痛いかも?」という程度のレベル1concussion は、日本では「脳しんとう」とはいいませんよね。

 

ワシントン州では、2009年に『Zackery Lystedt法』が可決されました。

この法律はワシントン州のスポーツ少年だった Zackery Lystedt君の名前を冠したもの。Zackery君は2006年、中学のアメフトの試合中に頭を強打したあと、少し休んで試合に戻り、その試合中に急に意識を失って倒れて病院に運ばれました。緊急手術を受けたものの脳機能は完全には戻らず、現在も全身が麻痺したままです。

頭を打ったあとすぐに試合に戻らなければ息子はこんな障害を負うことはなかっただろうと知ったZackery君のご両親が、二度と同じことが起きないようにと州議会に働きかけて制定されたのがこの法律。ニュースクリップはこちら

制定されたのは、ちょうどうちの息子が高校に入学した年でした。

この法律によって、クラブサッカーでも高校サッカーでも、試合中にconcussion が起こった場合には、その選手はすぐにプレーを中断して医療専門家の診断を受け、concussionによると思われる症状が完全になくなってから1週間(軽度の場合)は、試合にも練習にも出てはいけないことになりました。

そしてうちの息子、 か な ら ず 毎年1回は、頭を強打しちゃうのです。
新入生のときにはアメフトの試合でひっくり返り、数週間欠場。
去年は高校のサッカーのシーズン最後の試合の前にほかの選手と頭をぶつけ、重要な決勝に出場できず。



そして今回も、準決勝の試合でスライドタックルされて↑、この後に思いっきり後頭部を人工芝のグラウンドに打ちつけ、決勝には出場できませんでした。

大事な試合に出られないのがものすごく辛いようで、去年は悔し涙を流していましたが、脳みそには替えられないので、しかたありません。


いずれも意識を失ったりはしない「レベル1」のconcussionですが、昨日は試合後、シーズン打ち上げのチームパーティで、あちこちのお父さんお母さんから、小さな衝撃でも何度か続くと怖いから、ちゃんと検査を受けたほうが良い、と忠告されました。しかもパーティをホストしてくれた家のお父さんが脳腫瘍の専門医だったので、ものすごーーく説得力あり(汗)。



チームメイトの中にも、今シーズン中concussion で欠場した子が何人もいました。試合中にほかの選手と衝突して数分間意識を失い、夕食後もしばらく言動がヘンで、数日間記憶障害があったという 「レベル3」を被った子も。

頭の中の怪我というのは外からでは診断が非常に難しいし、本人にも自覚症状があるとは限らないので、こういうガイドラインが出来たのは喜ばしいことです。


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2012/02/25

『ヘルプ 心がつなぐストーリー』出版されました


もうひとつ、心待ちにしていた嬉しい本がとどきました。

『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(集英社文庫)。
原作はキャスリン・ストケットさんのベストセラー『The Help』です。(原作は一巻なのですが、日本語版は長大なため、上下巻になりました)

翻訳者の栗原百代さんのお手伝いで、この本の下訳を半分担当させて頂くという光栄にあずかりました。

昨年後半の数ヶ月、お天気つづきの週末もこもりきりで作業にかかったのでしたが、本当に楽しいお仕事でした!

舞台は1960年代後半のミシシッピ州ジャクソン、公民権運動がピークを迎えるまさにその頃。
語り手は3人の女性たち。大学を出たばかりの白人娘、ユージニアと、長年白人家庭のメイド「ヘルプ」として勤めてきたエイビリーン、そして 、その親友で毒舌家のミニー。

この3人が、白人と黒人が同じ場所に座ることさえ許されていない社会にあって(ほんの1世代前のことなのですが!)、白人家庭に仕える黒人メイドたちの本音を綴る本を出すという、弱い立場の女にとっては恐ろしく大それた危険な事業を成し遂げていくお話です。

カラフルな登場人物たちによるストーリーには、くすくす笑えるところ、爆笑してしまうところ、号泣してしまうところがいっぱいで、何度読み返しても同じ箇所でぼろぼろ泣いては、主人公たちのパワーに触発されて、たちまち元気になれます。

重いテーマを扱っているのにエンターテイメント性たっぷりで、あっという間に読めてしまいます。
ぜひぜひ、お手にとってみてくださいませ。 
  
映画はアメリカでは今年初秋に公開されてヒットし、日本では3月末から公開です。
アカデミー作品賞のほか、主演&助演の女優賞に3人がノミネートされています。

エイビリーン役のヴィオラ・デイヴィスは、言葉よりも雄弁で強い視線がぐさっとくる、素晴らしい演技でした。ミニー役のオクタヴィア・スペンサーは、作者が彼女を念頭においてミニーを書いたというだけあって、そのものずばり。映画の登場シーンから笑っちゃうほどの迫力でした。

ミニーと不可思議な友情を結ぶ、ホワイトトラッシュ出身のシーリアも、多くの読者から愛されている 忘れられないキャラクター。シーリアを演じたジェシカ・チャスティンも助演賞にノミネートされています。
 
明日のアカデミー賞発表が楽しみです!!

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2012/02/23

日曜日のホグワーツ(違


日曜日、ワシントン大学のスザロ図書館へ。
いつ行っても、ホグワーツな雰囲気です。

いつもは大学構内、1時間につき4ドルくらいのパーキング料金がかかるのですが、日曜&祝日は無料〜。クルマで行って見学するなら日曜が狙いめですよ。

もちろん閲覧室は誰でも使えます。


 大閲覧室は相変わらず静まりかえっていましたが、記念撮影している人も結構いました。
ここは天井が高いので、小さな音でも風呂場のようにわんわん響き渡ります。

シャッター音が響くと、静かに読書をしている人がちらっと目をあげる、視線が厳しい。

日本でもホノルルでも、図書館は飲み物食べ物持ち込み厳禁だったけど、シアトルの図書館は市立のも大学のも、まったくノーチェック。

本を読むのにコーヒーなしでどうするの?っていう文化なのか。
さすがにお弁当を食べている人はいませんが…。

ここも図書館1階のカフェテリアに(シアトルの施設だから当然)エスプレッソバーがあるので、カプチーノやアメリカーノを買って来て温かいカップを片手に、ゆったり読書ができちゃいます。
 

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2012/02/22

猫の日はジョージの誕生日


2月22日は日本では「ねこの日」だそうですが、ジョージ・ワシントンのお誕生日でもあります。
グーグルではヘルツさんのお誕生日を祝ってましたが。

2月の第3月曜日はいつの頃からか「Presidents’ Day」 と複数の大統領を記念するホリデーになり、12日がお誕生日のエイブラハムと一緒にお祝いすることに。
でもいまでも正式名称は「ワシントンズ・バースデイ」なのだそうです。

ところで、いま私が細々と通っているワシントン大学の「Red Square (「赤の広場」?)」入口に立ってるこの銅像。つい先日まで、誰なのか知りませんでした。

初代学長?なんて勝手に思い込んでたのですが、近くを通ったので足元からじっと見てみたら、ジョージ・ワシントンさんでした。
 
だからこの横の図書館にあるフードコートが「By George」って名前だったのか!と、やっと納得。 ワシントン大学だものね……。


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シンプルクッキーとケーキの本

おすすめ本もう一冊は、gigiさんこと西岡さんの、「洋書のようなシンプルクッキーとケーキの本」。

gigiさんのブログは、和洋のお菓子や和食や洋食のお惣菜など、シンプルだけれど手を抜かない食卓の風景がいつも紹介されています。毎回ため息がでるほど素敵なテーブル風景で、ブログに遊びに行くと、とびきりのお茶会にご招待頂いたようなほくほく気分になれます。

文章もとっても簡潔でシンプルなのに、教養の深さと、品のよさと、きりっとした人柄が感じられるのです。お会いした事はないのですが、きっととても柔らかで鋭い、芯の通った方なのだろうなあと想像しています。
 
さっそく、本の表紙にもなっているバターミルクパンケーキに挑戦。……恥ずかしながら、私、いままで、パンケーキミックスは箱から出て来るものだと思っていました。


バターミルクパンケーキって、わざわざバターミルクを買ってこなくても、牛乳とヨーグルトで出来るとは! 

卵、ヨーグルト、牛乳、バターと、小麦粉、ベーキングパウダー、ベーキングソーダ。これだけ。これならいつも冷蔵庫の中にあるもので出来るから、日曜の朝にミックスがないからパンケーキが出来ないなんて、間抜けな事はもう言えません。
Aunt Jamima にももうサヨナラです。


パンケーキを焼くのは息子の役目。 ふんわり!軽く、おいしくできました。

レシピはこちら。(レモンの絞り汁は本のほうには出ていませんでしたが、後は同じ)

お菓子もだけれど、おそうざいの風景もとっても素敵で、わが家の食生活改善にも活用させて頂いてます。和食編、洋食編、ランチ編……もお待ちしてます!


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2012/02/20

ブラックカルチャー観察日記


読みたい日本語の本がたまったので、アマゾンでまとめてオーダーしたのが届きました。送料高いけど、届くのは早っ。
さいきん、アマゾンドットコムはネット界のウォルマート化していると思う。シアトルの地元企業ではあるけど、あんまり応援したくない。でも他に並ぶものがないので使っちゃう。英語の本なら、地元の本屋さんで注文という手もあるのですが。使う側からすると、水も漏らさずという風情でスムースに使えるのですよねえ、アマゾン。

今回は、交流させて頂いているブロガーさんの方お二人が本を出版されたので、それも届くのが楽しみでした。

まずシカゴ在住のフォトグラファー、ジャンヌさんこと高山マミさんの『ブラックカルチャー観察日記』。
副題が「黒人と家族になってわかったこと」ときわめてストレートフォワードですが、すっごく面白い。結婚は「フィールドワーク」と考えて、出会った異文化に驚き、呆れ、楽しんで、ときに深く考察する、その面白がり方がとても真摯なのです。




シカゴのブラックファミリーの中にすっかり溶け込みつつ、アメリカの中の異文化、ブラックカルチャーを鋭く観察した報告書。
「ソウルフードの真実」から、ブルーズという音楽ジャンルが白人ファンのための伝統芸能と化しているという衝撃の事実、成功した黒人男性がクルマにお金を使う理由、キャリアの黒人女性が料理をしたがらない理由、黒人女性の髪への執念、などなど、アメリカで普通に暮らしていてもなかなか見えてこないことを、「内側」でも「外側」でもない、境界線から冷静に分析している貴重なフィールドワークです。

わたしの元夫もアフリカンアメリカンですが、なにしろ結婚生活が短かったし、二度ほど南部の実家に行って、昼間から酒屋の前にやたらフレンドリーな人たちがたむろしているとか、まずそういうところから大変なカルチャーショックを受けてはみたものの、あれこれ検証して学ぶ機会も余裕もありませんでした。

世界中を旅して来たマミさんと、シカゴのブラックコミュニティで育ちながら、東部の超エリート寄宿高校で4年間を過ごした旦那様。コスモポリタンなお二人の偏見のない視点が出会って、お互いの文化への尊敬に支えられた生活があってこその観察日記です。

この本を通して読んですごく思ったのは、うちの息子、半分はアフリカンアメリカンで外見はブラックのほうが強いのに、オアフ島とシアトルというぬるま湯のような環境で育っているし、親戚にも物心ついてから会いに行ってないから、本当にリアルなブラックカルチャーに触れたことはぜーんぜんないということ。きっと本人が思っている以上に、中身はほとんどアジア系。ブラックカルチャーも、そのプロトコルにもまったく無知なのです。 シカゴとか南部とかに「留学」させて、ちょっとは文化を学ばせたほうが良いかも。

アメリカ生活が長い方にも、音楽や本や映画を通してアメリカをよくご存知の方にも、楽しめること間違いなしの本です。


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