2011/07/05

宇宙の中心にレーニンとトロル


Fremont (フリーモント)はファンキーな町。

なにしろ勝手に「Center of the Known Universe(宇宙の中心)」を宣言している町です。

それだけに、さまざまなものが徘徊する。

この間裸のサイクリストのパレードがあったばかりだけど、たまたま土曜日の夕方車でフリーモントを通ったら、交差点でゾンビの群れに遭遇した。

Zombie Walk の日だった。

見に行こうと思っていたのに、うっかり来週だと思いこんでいた~。

これはゾンビの格好をした老若男女が行進するイベントで、去年は4000人くらいのゾンビが集まったそうです。昨日も通りすがりにちらっと見ただけだけど、かなり本格的なゾンビの方々が集合してましたよ。




オーロラ通りの橋げたの下にいるこのトロルは、恒久物件です。

20年前、暗い橋の下が犯罪の現場になったりゴミが次々捨てられて陰惨になっていくのをなんとかするためにアートを置こうということになり、コンペできまった作品で、『3匹のヤギのがらがらどん』のお話からインスパイアされたトロルなのだとか。

今では観光名所になっていて、いつも誰かがよじ登っている。
こんな具合にチョークでラクガキされるのは日常茶飯だけど、この間ペンキでラクガキされてしまったことがあって、その時には近隣のアーティストたちがボランティアで消したそうです。

コミュニティの大事なランドマークでもある、愛されトロル。




トロルから3ブロックくらい離れたところにある、もうひとつのランドマーク、レーニンさん。

こちらは売り出し中物件。

80年代末、チェコスロバキアで英語を教えていたシアトル近郊出身の先生が、「ビロード革命」後に倒されて倉庫に横たわっていたレーニン像を見て、心打たれ、私財をなげうって購入したものなのらしい。

7トンのブロンズ像を4万ドルかけてアメリカに運んだその矢先に、購入者の方は不慮の事故で亡くなってしまったという、いわくつき物件です。

残された家族の方は、家に届いた7トンのレーニン像を前に、さぞ途方にくれたことでしょう。

以来16年、銅像はフリーモントの町角に立って、買い手がつくのを待っているのです。

ちなみに現在のオファーは25万ドルだそうです。




イベントのたびにいろんな格好になるレーニンさん。
現在は、首のまわりに針金アートのネックレスが飾られてます。


 レーニンさんが指差すその先にはジェラートとサンドイッチの店が。



 ここのお店のサンドイッチとジェラートはなかなかおいしいです。
「レニースクープ」というのは、小さじ山盛り1杯くらい載せてくれるオマケのこと。一口ぶんほかの味が楽しめるので嬉しい。

レニーはもちろんレーニンさんのレニーのことでしょう。


パイナップル&バジルにキャラメル&アーモンドのレニースクープ。これはキッズサイズ。
パイナップル&バジルはかなりお勧め!


レーニンさんが、日よけに使われておる…。

レーニンさんもまさか、北米の片隅にある宇宙の中心の町のジェラート屋の前で、ハダカのサイクリストやゾンビが目の前を通っていくのを見ることになるとは思わなかったことでしょう。

故郷を遠く離れた宇宙の中心で、レーニンさんは今日も革命的な空を見上げているのです。



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2011/07/03

レインフォレストの生きもの

先週、ポートタウンゼントに行く前に寄ったハイキングコース、Gibbs Lake 。犬もOKで(国立公園やビーチ沿いのトレイルは、犬立ち入り禁止のところが多い)ポートタウンゼントに近くて手頃な長さのコース、ということでガイドブックからピックアップしたもの。

湖の周囲を一回りする2.5マイル(約4キロ)のコースだというので、グリーンレイクのようなものをなんとなく思い浮かべた私たち。友人Cちゃんはお買い物にいくようなショルダーバッグを肩から下げて登場! 

アップダウンはあまりないものの、結構なアドベンチャーコースでした。

いきなりトレイル入り口に「Cougar(クーガー/マウンテンライオン)に遭遇した場合の対処法」という、イラストつきの注意書きがあった。
オリンピック半島、クーガーが生息しているんだそうです…。
心配性のCちゃんは、クーガーが近寄らないように、歩行中ずっと大きな声で喋り通しだった。

トレイルはかなりぬかるんでいて、つるつる滑る。

ところどころキイチゴの薮が生い茂っていて、枝をどかしたら指に小さなトゲがささった。見えないくらいのトゲが、結構痛いのです。




Rainforest というのは熱帯のもの、と漠然と思っていたんだけど、オリンピック半島は樺太と同じくらいの緯度なのに、ハワイのカウアイ島に負けないくらい雨量が多くて、レインフォレストが延々と続いている。

Temperate rainforest(温帯雨林)というのだそうです。オリンピック半島の西側、太平洋に近いあたりの森では年間12フィート、3000ミリくらいの雨が降るとか。

湖の周りといってもずっと森の中で、水面なんかほとんど見えなかったのだけど、レインフォレストの空気はたしかに満喫できるトレイルでした。



樹の幹や倒木はびっしりといろんな種類の綺麗な苔で覆われていて、枝からはサルオガセみたいなのが垂れ下がり、樹の間には大きなシダが元気に茂っている。ひんやり肌寒いけど立派なジャングル。

そしてトレイルの足もとには、たくさんの巨大ナメクジやカタツムリが。真っ黒な Black Slug ていうのと、たぶんBanana Slug(バナナスラッグ)の一種だと思うけど、明るい黄色じゃなくて沈んだ黄緑色の。どちらも長さは5センチ以上あって、まるまると太っていますの。

写真はBanana Slug、Black Slugで画像検索してみてね〜。


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2011/07/02

Cafe Bambino

近所の変カフェ、Cafe Bambino。

フィニーリッジの坂からNW 65th Street をバラード方面に下りてきたところの一角が、アンティークショップ、タトゥーパーラー、パブ、車の塗装工場、コインランドリー、カフェ…という、微妙に偏ったラインナップの商業地区になっている。その中のアイコン的存在。

コーヒーカップを頭に載せたブッダ?の彫刻がランドマーク。

お店の中もブッダグッズがたくさん。


店内はカウンター席のみだけど、屋外席もある。いまの季節は緑に囲まれて気持ちのよいテラス。

なかなか素敵なご近所カフェです。


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2011/06/30

Hydrangea


紫陽花が色づいてきました。

英語名は Hydrangea。「ハイドレインジア」という音節の多い名前はなんだか化学薬品のようで「あじさい」と結びつかなくて、なかなか覚えられなかった。

日本では「あじさい」の中の舶来品種を「ハイドランジア」という商品名で呼んでいるようですが、英語では日本原産の種も中国原産のも hydrangea 。


寂しい花というような印象があったのだけど、今年高校を卒業した知人のお嬢さんが、prom (卒業前のフォーマルなダンスパーティ)の時に紫陽花をブーケにしていて、へえと思った。ドレスの色にぴったりの、かわいらしいブーケでした。



日本からは早くも猛暑のニュースが届くのに、シアトルはまだ寒い日が多い。今朝の気温も12度C。まだ家の中でも靴下がないと足が冷たい。

この冷気を東京の人たちにわけてあげたいです。

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2011/06/28

ポートタウンゼントのかもめ爆弾


超快晴の日曜日、息子と友人夫妻と4名&1匹で、オリンピック半島のPort Townsend (ポートタウンゼント)に行ってきました。
シアトルの北、Edmond (エドモンド)からフェリーで20分。そこから車で小1時間。

近くの湖、Gibbs Lake の周りの森をハイキングしてからポートタウンゼントへ。



『ロンリープラネット』によれば、この小さな町は19世紀末、安全な良い港として栄えて、一時は「西部のニューヨーク」になるとも言われ、一番乗りを夢見た実業家が次々やってきてビルを建てたのだそうだ。
でもその直後に不況に襲われ、タコマからつながるはずだった鉄道も実現せず、ブームは数年で終わり、あっという間に小さな静かな町にもどってしまった。


70年代になって、のんびりした風景とヴィクトリア時代の美しい建物を愛する人たちが「再発見」して住み着きはじめ、アーティストのコミュニティが出来てきたとか。友人Cの通うインテリア・スクールの教授も、ここからベルビューまで片道2時間半くらいかけて週に何度か通っているという。ほんとにちっちゃな町だけど、愛されてるのが良くわかる。

ストリートミュージシャンがあちこちで演奏する、海沿いの可愛らしい通り。カフェやギャラリーやアンティークショップのほか、昔の建物をそのまま使ったホテルもある。

ハイキングしておなかもすいたことだし、ピザ屋さんでスライスのピザを買って、港にむかって開けた小さな広場に木のピクニックテーブルがあったので、ここで座って食べようということになった。
数分後に大惨事になることもつゆ知らず…。


わたしは冷たいコーヒーが飲みたかったので、カフェに入って注文を待っていた。すると息子が妙な顔をしてカフェに入って来て、濡れた紙ナプキンをくれと言う。
外に出てみると、友人夫妻はふたりとも寂しい顔をして少し離れたところに立っていて、テーブルの上には私のフェタチーズのピザだけが、ぽつんと残っている。

一体なにがあったのかと聞くと、「信じられないと思うけど」と3人が一斉に教えてくれた。
3人でピザを食べ始めたとたん、大きなカモメが飛んで来て、「あーカモメだねえ」なんて言い終わる間もなく、テーブルのど真ん中に大量のふんシャワーを落としていったのだそうだ…。

この手前のテーブルが現場です。

ピザはもちろん、友人夫妻のシャツも、私の新調したばかりのカメラバッグもシャワーの被害を受けた。無事だったのはテーブルの下にいたビーグル一匹のみ。

あまりのことにみんな茫然としてしまい、街散策もそこそこに引き上げたのだった…。
しかも車に戻る途中、ビーグル犬チップも背中にふん攻撃を受けた!

ポートタウンゼントに行くときは、くれぐれも上空に注意してくださいね。



帰りのフェリー。キングストン港は1時間待ち。お天気の良い日曜の夕方は、たいてい混むのですよね。

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2011/06/26

6月のアルカイビーチ

土曜日のアルカイ・ビーチ。



曇りときどき晴れ、気温は20度Cになったかならないか。泳ぐにはまだ寒い。
水に入っている人はいなかったけど、ビーチにはビキニの女の子もちらほら。
かと思えばロングブーツの子もいる、シアトルの6月。


 公立小中高校は、金曜日から夏休み。
9月7日のレイバーデイ明けまで、長い夏の始まりです。


砂の上よりも舗道のほうが賑わっていて、いろんな自転車が行き交っていました。

水に入っていたのはカヤックやパドルサーフィンの人だけ。


平和にパドラーが行き交う向こうには、ハワイのパールハーバーにも来てた、巨大ボールがシアトル港に停泊中。
ミサイル探知用のレーダーで、ふだんはアラスカ沖をパトロールしている、海軍ではなくて「ミサイル防衛局」直属の人なのだそうです。

ハワイでよく息子のサッカーの試合に行ったワイピオのサッカー公園から、パールハーバーのシップヤードで修理中だった(働いてる時間よりハワイにいる休養時間のほうが長いんじゃないかと思われるくらい、ほとんどいつもいた)このボールがいつも見えていたので、なんだか懐かしい。



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2011/06/25

Initiative


Cannabis 続報です。

ワシントン州では4月に、医療用マリファナの販売所を承認して規制する法案が州議会で可決されたのだけど、これは州知事が拒否権を発動してオクラ入りになってしまった。州の職員が連邦法に違反して検挙される恐れがあるからというのが理由。

 それとは別にDickerson 州議員が酒タバコと同等に大麻を規制しようという法案を提出したが、さすがにこれは議会には通らなかった。

そしたら今回、レクリエーション目的のマリファナ所持を合法化するための initiative が発議されて、数日前のシアトルタイムス一面を飾っていました。

Initiative は『リーダーズ』によれば
(n) 「国民/州民/住民発案、イニシアティブ(一定数の有権者が立法に関する提案を行なって選挙民や議会の投票に付する制度(権利)」。

草の根から法案を提案する直接民主主義的システムで、アメリカでは半数くらいの州でこの制度を採用しているようです。

今回のイニシアティブ提案内容は、21歳以上の成年にマリファナ所持と使用を認め、州が販売を規制して、お酒のライセンスと同様の取り扱いで税収にしようというもの。車の運転に関しては酒気帯び運転と同様に取り締まり、州外で売りさばかないように一回の所持は16オンス(1ポンド、450グラム)に限るとのこと。

注:これはモミジです(笑)。

今までも何度も提案されて来た内容ではあるけれど、今回のイニシアティブが注目を集めているのは、現職のPete Holmes 市検事と、元連邦検事John McKay 氏がバックアップしているから。

McKay氏は、連邦検事時代は薬物を取り締まる側にいたわけだけど、現行の規制はメキシコのブラックマーケットに資金を流入させ、その結果麻薬カルテルが武器を買って死人を増やしているだけだ、と主張しています。「アメリカ人の多くは金を払ってマリファナを吸いたがっている。私はこの禁止法は馬鹿げた法だと確信しているし、私のほかにもこの法を疑問視している連邦検事は多い」とのこと。


もちろんこれが通ったら連邦法と真っ向から対立することになるのだけど、「このイニシアティブが、いずれ米議会を動かすきっかけになるだろう」と McKay 氏は強気です。

Holmes 氏の「控えめな」試算では年間2億1500万ドルの税収となる見込みだそうで、これを教育や医療福祉予算に使ってくれるなら大賛成。
このイニシアティブは 年末までに24万件の署名が集まれば議会にかけられるそうです。

これとは別の大麻合法化イニシアティブももう1件すでに発動しているそうで、かなり勢いが感じられる昨今ですが、さてどうなるでしょうか。

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