2020/09/16

イケメン満載のお宝マタイ受難曲

 


YouTubeでバッハをきいていたら、AIにおすすめされたマタイ受難曲。

なんと、ミュンヘンのテルツ少年合唱団と、バロック楽団ミュンヘン・ホーフカペレの、聖堂らしき会場でのライブ・コンサートという、お宝映像でした!

2017年のコンサートです。素晴らしいーーー。

テルツ少年合唱団は日本でもファンが多く、何度か来日公演もしてますね。

わたしは80年代にたらさわみちのマンガ『バイエルンの天使』で知ったのでした。「プチフラワー」と新書館の「グレープフルーツ」で連載読んでました。内容はうっすらとしか覚えていないけど。

(いまWIKIを読んで、「グレープフルーツ」の存在を思い出した。萩尾望都、大島弓子、佐藤史生、坂田靖子。少女マンガからスピンオフしたちょっとマニアックなマンガの黄金期でしたねー。雑誌もいっぱいあったし!!SF系が多かったな)

その後とくにフォローしてたわけではないんですが、この映像を見て、何十年かぶりに『バイエルンの天使』を思い出しました。

ソプラノとアルトのアリアは、交代で少年たちが歌ってる。もちろん、大人のプロ歌手にくらべると繊細な表現や技術には欠けるけれど、天使だよ天使。

 


第一部のアリア「 Blute nur, du liebes Herz!(血を流すがよい、汝、愛する心よ)」(15.44)は、4年生くらいの、ハリー・ポッターみたいなメガネ少年が歌っててカワイイ。髪の毛が寝癖みたいに立ってるとこもwww

 

 

ソプラノとアルトの二重唱「So ist mein Jesus nun gen」(こうしてイエスは捕らえられてしまった)(52:50) は、透明感半端ない。天使の声だ。


そしてね、一番出番の多い「福音史家」、これは金髪のテノール歌手の青年が歌っているのだけどね、この青年がなかなかのイケメンですよ。


Benjamin Glaubitzさんという、クリーンな正統派ドイツ青年。

ヘアスタイルも分け目正しい。
歌声も素晴らしいし、凛々しくも繊細な表現が福音史家にぴったりで素敵です。

 イエス・キリストはバリトンのSamuel Hasselhornさんという方。


こちらは外見がGEICOのちょっと昔のCMに出てた知的な穴居人を思わせる(いやあれは今ではNGだよね)ワイルドな髪型で、これもキリストの役柄にぴったりの、権威ある声が素晴らしい。

この二人の強烈なコントラストが、少年たちの合唱を背景に際立つことこの上なし。

Geduld! Wenn mich falsche Zungen stechen (耐え忍べ、私を偽りの舌が刺すときも)」(1:12)のテノールのアリアも繊細で素敵なのですが、伴奏のヴィオラ・ダ・ガンバが雰囲気のある素敵なイケメンで、そちらに目がくぎ付け。



チェロの前身、ヴィオラ・ダ・ガンバ。この楽器の音が好きなんです。
古楽器楽団でのマタイ受難曲は初めて聴いたかもしれない。

この受難曲中でたぶんいちばん有名なアリア「 Aus Liebe will mein Heiland sterben (憐れみ給え、我が神よ)」(01:40)は、わたしも超超大好きな曲なのですが、これだけはちょっと違和感あった。ソロのヴァイオリンが華麗にでしゃばりすぎなで、テンポが先走ってる感じ。このアリアは、特にこのヴァイオリンの部分など、イタリア的な要素が多いのかな、もしかして。初めてそんな印象を受けたのですが。とにかくヴァイオリンのおっちゃんはイタリアっぽかった。所作が。

 


「Aus Liebe will mein Heiland sterben  (愛ゆえに、私の救い主は死のうとしておられます)」( 1:40)。このアリアを歌ったソプラノの美少年は、ほんとうに綺麗な声です。

 もちろんドイツ語なんてぜんぜんわからないので、このサイトの対訳にお世話になっています。 

 

そしてこの指揮者も大好きー。顔と手の表情がとても雄弁で、ほんわかします。結婚するならこういう人がいいよ。

 


 古楽器だけの小さな楽団と少年たちの合唱。狭い舞台の上での演奏がとても親密で、今まで聴いたなかで(そんなにすごくたくさん聴いてませんが)かなり好きなマタイ受難曲でした。

テンポもかなりゆっくりで、丁寧な、心のこもった演奏だなあと思いました。

子どもたちの個性も豊かで、ぽっちゃり君もいれば優等生っぽい子も、ずっとキョロキョロしてる内気そうな子もいて、『バイエルンの天使』思い出した流れもあって微笑ましくてならぬ。

 この少年たちは今、どうしているのでしょうね。

こんなにぎゅうぎゅうに人が集まって合唱を聴くことが、また可能になるのはいったいいつのことか。と思うと、かなり切ない。

世界にはなんだかたくさんの災厄がふりかかっていますが、人類にはトゲトゲした嘘つきもたくさんいれば、優しい人もたくさんいる。

人類はこんなに美しい物語を長年たいせつにしてきたのだから、もうそろそろ、くだらぬ争いと怖れを卒業してはどうか。と、神様が言っているように思います。

 


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巨大ダリアとふわふわロールパン

 


ジェニファーちゃんがまたお庭の花を配達してくれました。こんどはダリア。巨大!

さしわたし、30センチくらいある。こんな巨大ダリアは見たことありません。

この迫力は、情熱の人ジェニファーちゃんそっくりだなあ、と思いつつ眺めていました。

とにかく何に対してもパワフルに向かっていく人。赤が似合う、いつも何かが燃えている女ジェニファーちゃん。でもスーパー優しく、実は傷つきやすい繊細な母性の人。頼もしい友人です。

うちの息子とキリコちゃんはコンビを解消してしまったのに、かわらず気遣ってくれている。

 


この炎のような花には、波乗り翻訳者えりぴょんからもらったフラガールが似合う。
フラガール、嬉しそう。

食卓に花があるのは幸せです。

ハワイ行きたいなーーーー。ハワイ州外からの訪問者に課せられている2週間の待機令は、すくなくとも10月までは継続するそうです。
7月の訪問者は2万3,000人弱。前年比、98パーセント!の減少だって。



そして、シアトルが煙霧におおわれていた土曜日に、マーサーに住むスーパーママPちゃんがわざわざ自作のパンをとどけてくれました。

このほかにも、シェフのご子息が船で出漁する本格漁で獲ってきたカニとか、元旦那さんのご実家でつくっている完全無添加塩だけ梅干しとか、激ウマ米とか、超豪華食材を山盛りいただいて感涙。

心安く頂戴できるように、カニが冷凍庫のスペースを占拠してるからもらってくれて助かる、とまで言っていただき。

カニの収獲が多すぎて冷凍庫スペースをめぐり親子げんかになるって、どんな贅沢なのww

 何もお返しするものがなくてまことに恐縮なので、文庫本の棚をあけて幸田文の本を押しつける。迷惑だったかもしれぬ。すまぬPちゃん。

うちに余っているのは、古本と、息子の部屋にあふれている奇妙な靴のサンプルだけです。

どうして私の周りの人はみんな、こんなに親切なのだ。だから世の中の人はみんなこんなに優しい人ばかりだと錯覚してしまうのです。そしてニュースやSNSを見て、うわっと思う。



せっかくロールパンをいただいたので、スクランブルエッグとソーセージをはさんで、日本の朝食風に。

ふわふわでうまいことこの上なしでした。


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2020/09/15

そして世界がオレンジ色に

先週金曜日、9月11日のシアトル、ガスワークス公園。
カリフォルニアやオレゴンからの「超巨大な煙の雲」がやってきつつあった週末です。

これらは、うちの息子が撮ってきた写真です。久しぶりにデジタル一眼レフで。
木工用の分厚いフィルターがついたマスクを着用して、この光の加減が面白いといって新しく作った靴の写真を撮りにでかけていきました。

わたしは終日家でるすばん。


向こう岸はシアトルのダウンタウンなのですが、ほとんどビルが見えない。

 

空気質が「軽度の汚染」から「中程度の汚染」になり、さらに「重度の汚染」になっていきました。 

 

フィルターをかけたような世界。

オレゴン州では、山火事で住民の1割が避難しなければならなくなっているという事態です。




金曜日の夕日。水曜と同じサンセットヒル公園から見た景色ですが、オリンピック半島の山どころか、水面も見えない! 

 

 

そして、翌日土曜日。いちばん煙がひどかった日。
朝起きたら、世界がオレンジになっていました。

この土曜日は、鳥も啼かないし、蝶も蜂も飛んで来ないし、人も歩いていないし、雪の日のように静かでした。 

ただ雪の日のような清浄感はなくて、空気がどんよりと沈んでいて、いつもうるさいからすやジェイ(かけす)でさえ、しょんぼり。


 

同じ日の午後。
太陽が、はんこで押したみたいな弱々しい円盤になっていました。

終末感が半端ない。

家でこもるのはもう慣れているものの、窓も開けられない、散歩にも出られないというのはさすがにこたえます。

もちろん、家が焼けてしまったり、避難生活を強いられている人びとに比べたらまったくたいした不便でもありませんが。


 

そして今日、月曜日。オレンジではなくなったものの、まだぼんやりとした視界。

今朝の太陽は、銀屏風に金泥で描かれた日本画の日輪みたいでした。


雲だか煙だかが、眩しくない太陽の円盤の前を横切っていくのが見える、不思議な光景。

一日じゅう霧笛が響いていて(水路が近いのですが、どこから聞こえるのか不明)、それもなんだか不思議にわびしい気分を深めます。

 


ワシントン州のエコロジー局のサイトが提供している、リアルタイムの空気質マップ
指標が200以上だと「Very Unhealthy(かなり健康に悪いレベル)」、300以上だと「Hazardous(危険レベル)」なのですが、月曜夜でもまだ300以上の値になっている。


 これが「超巨大な煙の雲」です。ワシントン州「煙情報」ブログより。

画面右側の上半分がワシントン州、下半分がオレゴンですよ。二つの州をあわせたよりも大きい。これはまことにマッシブ。巨大すぎる。

2020年はこれでもかこれでもかと次々にいろいろやってきますね。来月は何が……。

ああ、もうすぐ選挙がある……。

シアトルは今週、雨の予報なので、煙を洗い流してくれるといいですね。

シアトルで雨を祈願なんて、これもめったにないことですが。

…といっていたら、雨が降り始めた(夜11時)。 とたんに空気が煙臭くなくなって、嬉しい。窓を開ければきれいな空気があるって、こんなに嬉しいことだったんだ(涙。

とにかく山火事が一刻もはやくおさまりますように!

 

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2020/09/11

山火事の煙がやってきた


きのう、水曜日の夕陽。

バラードのサンセットヒル公園から、ピュージェット湾をはさんでオリンピック半島に沈んでいく夕陽です。

カリフォルニアとオレゴンの山火事が大変なことになっている、と思っていたら、今週はワシントン州でも山火事がたくさん発生して、特に月曜日にとても風が強かったのがわざわいして大延焼し、過去12シーズンで最悪の被害となって、非常事態宣言が出るほどになっています。
 

州の東端のあたりにあるモルデンという小さな町がほぼ町ごと全焼してしまったというほどの勢い。ほんとにひどい。


 

シアトルはどの火事現場からもかなり離れているものの煙が流れてきて、空がぼんやり霞んでます。だから夕陽の色がものすごい。

 


もっと近くに山火事がたくさん燃え盛っているサンフランシスコは、昼間でも空がオレンジ色でまるで火星みたいな写真にびっくりしました。

そのカリフォルニアとオレゴンの山火事の煙が、明日は北のほうに流れてくる見込みだそうで、ワシントン州のEmergency Management Divisionから「明日はsuper massive cloud of smoke(「超でかい煙の雲」)が来るので、外に出ないように。買い物は今日中に済ませておきましょう」というお達しが出ています。

 

シアトルの水曜日の天気はこんな。
「Unhealthy Air Quality for Sensitive Groups」というのは、呼吸器などに持病がある人などにはよくない空気です、という意味でしょうね。

 

日本語表示にしてみたら(これはきょう木曜日だけど英語版は同じ表示)、「軽度の汚染」になっていました。


これは火曜日の朝、7時半頃。朝から夕方のような光加減でした。

山火事がいちばん燃え盛っていた翌朝。夜、焚き火のニオイがするので、近所で暖炉を焚いているのかと思ったら、山火事のニオイでした。朝も煙臭かった。 

今週末はちょうど欲張って引き受けすぎた仕事が山盛りなので、また籠もって暮らします。


こちらは先週日曜日。カニ漁ができる最後の週末で、ボートがたくさん沖に出てました。

    

カニたち受難の日。

うちの収穫は、またレッドロッククラブ1ぱい。

このカニって、星座の蟹座の絵でよくみるカニのかたちだ。

 


食べるところはそれほどない。でもうまい。茹でる前に即死させたほうが、生きたまま熱湯にほうりこむよりも人道的だし味も良いそうです。
カニ茹で係はうちの青年。YouTubeで見たとおりにドライバーで瞬殺していました。

青年は、はじめてのカニ漁シーズン、楽しんだようです。



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2020/09/04

道ばたに不用品&ひとを憎まずの82歳、そして悪徳。


 近所をさんぽしていると、時々、椅子やソファや棚やその他の不用品が道端に置いてあることがあります。先日はOster社の70年代ふうのジューサー・ミキサーが、ぽつんと芝生においてあった。


「FREE」と書かれていることもあるけれど、たいがいは無言で放置されています。

この赤い椅子も。なんだかキャラクターのある椅子でした。

そして、持ち去っていくひともけっこういるのが面白い。うちのリビングで使っている植木用の棚も、すぐ近所でひろってきたものです。

Goodwillも7月からだったか、お店の営業と不用品受付を再開したのですが(不用品寄付受付は毎日9時から3時まで) 、みんなコロナの家ごもりのおかげで断捨離がすすんだらしく、寄付したい不用品を積んだ車が毎日行列してます。再開後ひと月くらいの間は、車の列が100メートルを超えるくらい長かった。

 


 ニューヨーク・タイムズの、ジェーン・フォンダさんのインタビュー記事を読みました。

御年、82歳。

波乗り翻訳者えりぴょんおすすめのNetflixシリーズ『Grace &Frankie』 で活躍中ですし、(シーズン3まで見た。面白いです)ドラマに出てないときにはプロテストに出かけているという相変わらず元気なかた。

元気だなあすごいなあと思いつつ読んでいるとこんな箇所があって感銘をうけました。 

I am of the belief that evil deeds, which Trump is committing, is the language of the traumatized,” she said. “And you can hate the deeds. Don’t hate the person because he wins if we hate him. Don’t even give him that much energy.
“So, actually, I have empathy for him. I look at this person and I see a frightened child who is very, very dangerous because he’s got his hands on all the buttons.”

(「トランプがやっているような邪悪な行いというのは、トラウマのあらわれなのだと思う。行いを憎むのは良いけれど、人を憎んでは駄目なの、相手に勝たせることになるから。そんな人にあんまりエネルギーを使わないほうがいい。

だから、ほんとのところ、わたしはトランプにもエンパシーを感じる。トランプの中には怖がっている子どもがいて、その子の手の届くところにいろんなボタンがあって押せるようになっているから、それはそれは危険なのよ」)

うんうん、わたしもそう思う。あの人のなかにはとても怖がっている駄々っ子がいる。しかしそれより、それを何らかの理由でたてまつってしまう人がいるのがね…。そういう人の心根と思考回路がどうしても理解できなくて悲しいです。

「罪を憎んでひとを憎まず」というのは、そうするのが正しいとか良いことだからではなくって、憎むことが無駄でなんの益もないだけではなく、自分にとっての害になるからなんですよね。

人を憎むことほどエネルギーを無駄にする活動はあまりない。 


最近よく引いてるカミュの『ペスト』にも、こういう一節がありました。

 

人間は邪悪であるよりもむしろ善良であり、そして真実のところ、そのことは問題ではない。しかし、彼らは多少とも無知であり、そしてそれがすなわち美徳あるいは悪徳と呼ばれるところのものなのであって、最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである

カミュ. ペスト(新潮文庫) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2301-2304). Kindle 版.

無知と悪徳。「自らすべてを知っていると信じ、人を殺す権利を認めるような無知の悪徳」そのまんまですね。



去年、ホワイトハウス前での気候変動にかんするデモに参加するときに真っ赤なコートを買ったというジェーン・フォンダさん。3回結婚してて、その一人テッド・ターナーさんと結婚していたときには、23軒も家があったので、あっちこっちに服を置いておかねばならず、複数の家のために同じジーンズを何本もまとめ買いしていたという桁外れの富豪話もこのNYTのインタビュー記事にあって、面白かったです。

このコートを最後に、もうこれ以上服は買わない、という。

2週間前には50本ほどのジーンズを処分したし、まだ2つのクロゼットに(たぶん一部屋ぶんくらいのウォークインクロゼットなんでしょうねー)服がいっぱいあるし、と語っていました。

そういう境遇のスターが政治的な発言をしたり政治活動や抗議に参加することに対してつまらない揶揄をする人もいるけれど、こうやってあっけらかんと自分の信じることをやって、臆さない82歳、とてもかっこいいと思います。

 

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2020/09/02

カニ漁へ。

なんと、9月になっていました。

東京はまだ暑いらしいですが、シアトルはもはや秋の気配。
朝の気温は13度Cまで下がる日もあり、肌寒いです。

ニュースを見ると血圧が上がってそのあと寝込みたくなるので、ヘッドラインだけにしていますが、それでもまだ身体に悪い。

トランプ君たちが売りつけようとしているアメリカン・ホラー・ストーリーズを真に受けてしまう人がどれだけたくさんいるかと思うと、とにかくつらい。人類の知性と共感はこの時代をきっと生き延びると信じるけれども。

なによりも、敬虔なクリスチャンの人たちがトランプや極右のストーリズに巻き込まれてそれで良しとしていることが、とても悲しいです。目を覚ましてください!とお水をかけてさしあげたい。 もちろん心あるクリスチャンの方は、声を上げているのですけど。


うちの青年が、クレイグスリスト(情報交換の掲示板サイト。不用品の売り買いや不動産情報、求人情報などありますが、メルカリなどのサイトと違って掲示板機能のみで決済などのサービスはないので、売り手と買い手が直接連絡してブツを見に行き、たいていキャッシュで支払いというクラシックな交換方法です)でみつけて買ってきたもの。

カニ漁用の網です。

青年はこれを、靴づくりの素材として購入したそうなんですが、せっかくなので本来の目的にも使うことにして、カニ漁のライセンスを25ドルで買ってきました。


カニを獲ってもいいのは、日曜日と月曜日だけなのだそうです。
そして、5インチ(約13cm)だったっけな、一定の大きさ未満の子ガニはリリースしなければならないキマリです。

日曜日の午後、ゴールデンガーデンズ公園の近くの桟橋でカニ漁へ。

中国人のグループが3組、白人の親子が1組、白人男性が2人。釣りをしながらカニ漁をする人が多いらしく、ちっちゃなサーモンやヒラメ(カレイ?)が釣れてました。

中国の人はカニへの情熱が熱く、テンション上がっていました。

30代くらいの中国人男性(ほかの中国の人と中国語で話していた)は、箱を引き上げながら、「カニは入ってるかな〜♪カニ、カニ〜」と、英語でうたっていた。

この網(箱型のカゴ式のも、ごくシンプルなチリトリくらいの大きさのもいろいろあります)に餌(青年はキャットフードを使用。ほかの人はサーモンとか生の鶏肉を使ってました)を入れて、海に投げ込み、20分ほど待つ。

3回ほど投げて、Red Rock Crabという赤いカニがいっぴき獲れました。

今ここで穫れる種類はダンジネスクラブとこのレッドロッククラブだそうで、どっちも「イチョウガニ」の仲間なのだそうです。


すてきな形のカニでした。せっかくだから大切にいただきます。
ライブなカニを料理するのは、青年もわたしも生まれてはじめて。
いつもはスーパーマーケットで、もうとっくに死んでいるものの肉を買ってきて食べるので、生きているものを料理するのはドキドキするし厳粛な気持ちになりますね。



単に塩水で茹でて、アメリカンにバターとレモンだけでいただきました。
レッドロッククラブなんてきいたこともなかったけど、ふんわりしていて甘くて、おいしかった。さすがにいままで生きていただけある。冷凍のタラバガニよりおいしかったです。



 カニ一匹だけではごはんにならないので、青年が高校生のときにピザ屋ではたらいていたときのスキルを駆使してピザをつくってくれました。

ピザ生地は、セントラルマーケットで買ってきたもの。具はルッコラとキャラメライズしたオニオンと、イチジクとプロシュート。夏のピザです。イチジクうまい。


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2020/08/23

この四半世紀で一番感動したやつ


近所のおうちのかわいいリンゴ。

ここ最近、また近所の家が次々に売りに出されていて、しかもすごい勢いで売れています。 


 

このあいだ、うちの青年に読ませるためにに『風の谷のナウシカ』の英語版をアマゾンでぽちって購入しました。

青年、日本語で原作を読むのはかなりハードルが高いので…ww。高校で日本語履修したのにな。2年もな。

わたしは、宮崎駿作品の最高峰は、どのジブリの映画よりもこのマンガ版『ナウシカ』だと思います。



月刊『アニメージュ』に連載されていたもの。

今回、とっても久しぶりに全巻読み直してみて、あああ、これは私の原点であったなあ、とあらためて呆然としました。

いまだにこれ以上のものは読んでない気がします。

 第1巻は1984年発行。

最終巻7巻は、なんと、うちの青年が生まれた1995年の発行でした。阪神大震災と地下サリンの年。

完結までに11年かかってるんですね。 

その間、スタジオ・ジブリを立ち上げ、『ラピュタ』『トトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』などが制作されたので、連載もよく休止していたはず。 (わたしは雑誌は買ってなくて、単行本になってから読んでいました)

第2巻発行とほぼ同時に映画版の『風の谷のナウシカ』が公開されました。映画版の内容は2巻までを簡単にまとめたものです。

それでもじゅうぶん感動的だけど、原作はほんとうに深いです。

 

 


映画の公開は1984年3月11日(2巻の帯に書いてあった)。いまはなき、渋谷の東急文化会館の映画館に悪友チエコと一緒に見に行ったの覚えてる。号泣したかったけど恥ずかしくて泣けなかった19歳でした。チエコよ覚えているか。



 

青年は、靴のマテリアルなどのデザインのヒントとしても、ビジュアル面でいろいろインスピレーションを受けたようです。

 

 

 

この最終巻の終わり方、ほんとうに、すごい思想だと思うんですよ。

宮崎駿さん自身も、どこからこの結末がおりてきたのか、まったく覚えていないと言っているそうです。

3日かけて全巻読んで、かなり泣いた。

25年前に読んだ当時は最後の展開に心がついていけず、打ちのめされて消化しづらかったけれど、現在のコロナの時代に読むと、そのすごさがますまず水際立って感じられるし、今だからこそ純粋に素直に深いところで受け止められるように感じます。

ぜひぜひ読んでみてくださいませ。これ高校の課題図書にすべきだと思う。

 

「世界を敵と味方だけに分けたらすべてを焼き尽くことになっちゃうの」

 

「その人たちはなぜ気づかなかったのだろう、清浄と汚濁こそ生命であるということに」

 

「私たちの神は一枚の葉や一匹の虫にすら宿っているからだ」


これこそ、ほんとにNetflixとかでたっぷりお金をかけてミニシリーズにしてほしいのだけど、やっぱり宮崎さんが監督しないと、きちんとしたものはできないのだろうなあ。

ということで、コミックで読んでください。ぜひ。

 

 

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