2020/06/19

これは見てほしい☆



「地球上に人らむきだしで生きられる 時間まだありて若葉のひかり」

馬場あき子さんの歌です。最近よく思い出す。 
「むきだしで」人が地上に生きられる時間はあとどのくらいあるのでしょうかね。




#BLMでいま注目されてるNetflixの2016年制作のドキュメンタリー『The 13th』(邦題:13th 憲法修正第13条)が、米国内ではYouTubeで全編無償公開されてます。

監督は、キング牧師の公民権運動を描いた『SELMA』(邦題はグローリー/明日への行進)のエイヴァ・デュヴァーネイ。

リンクはこちらです。(白金マダムMに確認していただいたところ、日本ではYouTubeでは見られないみたい。残念。でもNetflixでぜひぜひご覧ください)
追記:どうやら日本でもYouTubeで見られるようです。お試しを!

なぜアメリカには230万人も囚人がいるのか(全世界の囚人の4分の1だって)。
なぜそのうち4割が有色人種なのか。
なんで民間会社が刑務所を経営してるのか。

なぜ警察はミリタリーのようになってしまったのか。

などなどの謎が1時間40分でわかるドキュメンタリーなのでとってもおすすめです。
日本語字幕もありですよー!

これは今回の#BLM抗議活動のサポートで無償公開したのかというとそうではなくて、コロナのおかげで学校が閉校になってしまったあとで、先生たちをサポートするためにNetflixが4月半ばにYouTubeで無償公開を始めた「教育ドキュメンタリー映画」のひとつだったのですね。

先生や生徒でもなくても、すべて見られます。YouTubeで公開中のドキュメンタリー一覧はこちら

この中に入ってる「Abstract」シリーズも面白いです!

「Our Planet」はときどき別のことしながら環境ビデオ的に流してぼーっと見てたりします。
フラミンゴとかほんとにすごい。唖然とする大自然。



地球上にフラミンゴの時間もたくさんありますように。


あとはー、Dave Chappelleの『8:46』もパワフルでした。ひさびさにみた、デイヴ・シャペル。なんだろう、その場の空気をすべて所有してしまうこういう人。

こちらで見られます。こちらは字幕なしです。これの字幕翻訳は難しいだろうなあ。

仕事が本格的に暇になってきました。困った。しかし映画ばかり見てしまう。さらに今はマンガが読みたい。困った。




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2020/06/13

Defund the Policeと暴力装置



どよよーん。気分が上がりません。

耳鳴りみたいに世の騒乱が常に耳の中に侵入してきていて、毎朝目覚めるたびにかなり気分がまずい感じになっている。能天気だけがとりえのわたくしとしたことが、本格的にダウンしてます。

2001年の同時多発テロの後にも動揺したけれど、あのときとはまた全然違う気持ちのわるさがある。日本でもネトウヨと呼ばれる人たちがうようよしているのは似たような気持ちのわるい状況だけれど、ヘイトにまみれている人、コンテクストと痛みを理解しようとしない人、共感のない人たちが無神経な分厚い壁のように立っていることにいいようのない怒りを感じて、その怒りように自分で驚いてます。

これは自分の無力感へのフラストレーションでもあるんだろうと思います。

日本ではいまだに暴動と略奪ばかり報道されてるのではないか、またはそこしか伝わらなかったのではないかという印象を受けるのだけど、今回の抗議活動がほんとうに全米でたくさんの普通の人、白人の普通の人たちまでの感情を巻き込んで、大きな抗議運動になっていること、そしてその中からひとつの具体的な焦点として、「Defund the Police」(警察の予算カットを)の要求が早い段階で出てきていることが、どのくらい伝わっているのかな、と不安に思います。


警察というのは、力をもって暴力を制止する組織です。

市民を守るはずの組織的な力の行使を受け持つこの組織が、ときには弱いものに暴力をふるうこともあるというのは、わりと一部の人しか知らないで済んでいた問題でした。

日本の警察もそうとうにえげつない暴力を被疑者にむけてふるったりしますけれど、その対象はごく限られていて、めったに社会に知られることはない。
かなり昔ですけど、ケーサツにつかまって、取り調べ室で手錠をかけられて面白半分にボコボコに殴られて前歯を全部折った友だちがいました。15歳の少年でした。

不良少年や不良少女だったことがある人なら日本のケーサツがどのくらい陰湿ないじめをすることがあるかよく知っているけど、そういう子たちはリソースも知恵もないので訴え出ることなどない。

仮にひとつふたつ、そんな話が表沙汰になったところで、世間の大半の人からは「自分が悪いんでしょw」「学校行ってろww」とバカにされて省みられることはないというのを、そういう悪いおまわりさんはよくわかってて、絶対に表沙汰にならない人たちだけを対象にいじめをやる。

先日、渋谷でクルド人男性に対する警察の暴力が撮影されて、それに対する抗議活動が起こってます。「こういう奴」になら暴言を吐いても、蹴っても殴っても大丈夫、という了解がおまわりさんにはあったのでしょう。

アメリカでは、20世紀を通してまさにあれとまったく同じことが有色人種にたいして日常的に大規模におこなわれてきてて、そのために殺害される人も多かった。

この国でも今までは、そういう警察の暴力に対する抗議には
「自分が悪いからでしょw」「たまたま運がわるかった」
とかわすのが世論の主な反応でした。自分にはとりあえず関係ないから。

ブラックコミュニティやリベラルな大学の中で警察の刷新やミリタリー装備の解体が主張されても、けっしてメインストリームになることはなく、それこそ「極左」「社会主義者」の考え方とレッテルをはられてきました。

でも今回、あれだけの衝撃的な映像がこれ以上ないほどハッキリとその暴力を明るみに出したこと、それに先立って警察の暴力による死者が直近で何人も出ていたこと、それにたぶん、トランプのかき立てたヘイト文化に対する反動がこれだけの抗議活動につながって、先週あたりから「Defund the Police」が現実味を帯びて語られてます。

まだ具体的な結果につながっていなくても、これだけこの問題に共感が集まっていることそのものが、歴史的なことなのです。

アメリカの警察組織は市や町の自治体単位で完全に独立しているので、これは生活に密着した自治体の政治問題で、改革はやろうと思えば割合にすぐできる。

Defund the Police というと、おまわりさんが一人もいなくなってしまい、まるで『マッドマックス』の世界のような光景が繰り広げられるのではないか、という想像をしてしまう人が多いかもしれないのですが、そうではありません。

ニューヨーク・タイムズの論説記事によると、トランプもそういうイメージを掻き立て、「ドロボウや強姦魔がやりたいほうだいになる」と不安をあおっています。

でもそうではなくて。

警察に使われている予算の一部を、問題そのものを解決するために、社会的なサービスに使おう、というのが「Defund the Police」の主旨なのですね。

レーガンが勇ましく立ち上げたけれどまったく効果がなく、多くの人を刑務所に入れるだけに終わりむしろ問題を深化させた「ドラッグとの戦争」以来、どこの戦争に行くんですか?というような過激な装備を警察が導入するようになり、警察が装甲車を持つようになったりして、それと平行して警察による暴力もエスカレートしてきました。

市民を守るはずの警察が、軍隊の装備を持つようになるとどういった心理的効果があらわれるか。

結局暴力は暴力を生み、エスカレートさせていくだけではないか。
暴力で暴力は解決できないというのが今まででハッキリした教訓ではないか、というのが、Defund the Policeの背景となる考えかたです。

抗議活動している人にもそれこそいろんな考えの人がいるし、そうそう簡単ではないだろうけれど、わたしは「Defund the Police」の流れにはまったく大賛成で、これが今少なくとも注目を浴び、これまでよりも多くの人の共感を得て、まともに議論されているのがとても嬉しいです。

だからこそ、その論旨とその背後にある痛みの歴史に共感できない・しようとしない人、ましてやあからさまにそれを「弱さ」として攻撃する人々への怒りを感じてしまうのでした。

変わらない人は変わらない。

でも恐れを基盤にした社会よりも、共感と理解を求めようとする社会、懲罰よりも癒やしにフォーカスした社会のほうが豊かだと思うし、それはユートピアでなくてもある程度実現が可能だと思うし、これからの世代には今までにはなかったほどのスピード感と軽やかさでそれを可能にする力があるはずだと、わりとかたくなに信じています。




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2020/06/11

シアトルの「CHAZ」をめぐる罵倒合戦



もう終わってしまったロードデンドロン。

花の時期はあっというまに終わりますね。

シアトルがまた全国ニュースに登場していました。ニューヨーク・タイムズのトップに出てきてた。

ボストンにいる息子から聞くまで知らなかったんだけど、シアトルのキャピトル・ヒルというダウンタウンの丘の上にある昔からファンキーなネイバーフッドの一画が、いまプロテスターに占拠されて「Capitol Hill Autonomous Zone」(キャピトル・ヒル自治地域)と名乗っているのでした。略称「CHAZ」だって。



シアトルでもご存知のとおり5月末からデモに続いて暴動があり、警察とデモの人々との間で衝突があり、逮捕者やけが人も出てました。

今週になってシアトル市は衝突を緩和するため、キャピトル・ヒルにある警察署の一時閉鎖を決め、警察が退去したあとで、この一画が「警察の入ってこない自治区」を名乗るようになったとのこと。

この記事によると、現在のところはきわめて牧歌的で、スピーチをしたり、映画上映をしたり、おやつを配ったり、(たぶんマリファナ吸って)のんびりしているようです。

わたし野次馬なので見に行きたくてたまらないのだけど、息子にきつく止められています…。COVID陽性だったら行ってもよかったんだけど…っていやいやいや、それは駄目だな!


そして、やっぱりトランプが今朝になってシアトル市長とワシントン州知事にむけて口汚い毒ツイートを吐きました。


(極左知事とシアトル市長は、このグレートな国はじまって以来のバカにされようだ。おまえらの市を今すぐ手中におさめろ。お前らがやらないならオレがやってやるぜ。ゲームじゃないんだ。汚いアナーキストを今すぐ止めるんだ。早くしろ!)

これに対して市長は「Make us all safe. Go back to your bunker.」(私たちを皆安全にさせといて。隠れ場所に戻んなさい)」と返答☆

トランプは、先週、抗議の人たちがホワイトハウスの前に何千人も集まったのに恐れをなして、一時ホワイトハウスの電気を消し、地下の「 bunker(退避壕)」に隠れていたのを報じられて、「bunker boy」と揶揄されてたのでした。

ニューヨーク・タイムズによると市長は「これはテロじゃない、愛国精神です。大統領だろうが誰だろうが、これ以上の分断や不信や、間違った情報をを焚きつける人を私たちは必要としていない」と、勇ましい。

もともと「極左」の人が多いシアトル、しかも場所はシアトルの中でも極左の集まるキャピトル・ヒル。
極左でない人も、たいていの人は自分に直接の不利益が及ばないかぎり、寛容です。



BloombergQTより。

このままホビット村のように平和なままで占拠が続けばよいのだけど……。

最悪のケースを勝手に考えてわたしが暗くなっても仕方ないけれど、イヤな事件などが起きないことを祈ります。

ジョーン・ディディオンがレポートした1967年のサンフランシスコをちょっと思い出します。

記事によると、この「自治地域」に武装した白人至上主義者が潰しにくるんじゃないかと怖がっている人もあり、ライフルを持ってパトロールしてる人もいるそうだ。

それはちょっとどうかと思う。ホビット村ならホビット村らしくあくまでラブ&ピースをつらぬいたほうがいい。銃を持ってきた人がやってきたらSNSでその暴力をさらせばいいので、キャピトル・ヒルが銃で対抗しちゃ駄目だと思う。

市長はCHAZの「リーダー」たちと話し合う用意があるというけれど、まとまった組織ではないのだし、「警察の解体」という過激な目標とどのようにすりあわせていくのか、なかなかスムーズにはいかないと思うけど。トランプや保守派からのプレッシャーもあるし。

BLMのムーブメントで以前から要求されていたこと、「Defund Police」(警察の予算大幅削減)と警察のアカウンタビリティと透明性の強化、に大きな注目が集まっていて、ミネアポリスではすでに警察組織の完全な刷新が発表されてます。

警察の改革がこれほど全国的に支持されたことはかつてなかったそうです。

民主党は時機をのがさず、警察改革案を出しました。なかみはまだちゃんと読んでないけど、このスピードは素晴らしいと思う。もちろんトランプは大反対で絶対阻止の構え。

それだけでなく、あちこちで(ボストンでも)コロンブス像や、南北戦争時の南部連合の将軍の像が倒されたりもしてます。

でもそれに怒りとヘイトを燃え上がらせている人たちもとても多く、その人々の怒りをトランプが利用して毒をまきちらしているし、まだこれから夏にむけてさらに醜いバトルが巻き起こるのは必至です。



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2020/06/10

ゴジラに癒やされる



青じそがだいぶ育ってきました。地植えだとめっちゃ繁殖するらしいけど、鉢植えではどうでしょうか。青じそ祭りを夢見て、ありったけの鉢を動員中。



マイクログリーンがいつでもあるのは幸せ。あんなちっちゃい種からちゃんと覚えていてこんな形になるなんて、まったくもって大自然の驚異ですねー。

あっそうだ、土曜に受けたCOVID検査の結果が火曜にやっとわかった。陰性でした。
実はちょっとがっかり。
3週間ほど咳が出てますが、熱もないしほかの症状もないので、コロナに感染してこれで済むならしめしめ、と内心思っていたのでした。




先日、HBOで2019年公開のハリウッド版『ゴジラ』を見ました。ケン・「ラストサムライ」ワタナベと、『ストレンジャー・シングス』のエルちゃん役ミリー・ボビー・ブラウンが出てる。邦題は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。

『ウエストワールド』が観たくてアマゾンプライムのHBOのフリートライアルをアドオンしたところ、シーズン3まで1週間では観きれずまんまと延長し、そして今度は『シリコンバレー』を観始めてしまい(めっちゃ笑える、特にシーズン1が最高)また延長中。緊縮財政中なのにまたしてもサブスクのトラップにはまってしまった。自分でも罠にかかりやすい人間だとおもう。

そうそう『ゴジラ』にも『シリコンバレー』のリチャード・ヘンドリクス君(トーマス・ミドルディッチ)が出てて、おおぅ、と大笑いしちゃった。いてもいなくてもいい役でwww
リチャード君よりはちょっと貫禄のある科学者役、でも基本は同路線ギークなキャラクター。
『シリコンバレー』のファンとこの映画のファン層はかなり重なるんだろうなwww

あとは半魚人の愛人サリー・ホーキンスも出てた。

そうなんです、まだまだ毎日ニュースやSNSのタイムラインを読んではメンタルが富士急ハイランドのFUJIYAMAに乗ったみたいに上がったり下がったりして疲労困憊しつづけています。無力感も壮絶です。

そんななかで、ゴジラやモスラやキングキドラが街を破壊しつくす映画に、驚くほど癒やされました。



(ネタバレごめんね)

最後のほうで舞台になるのがボストンで、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークも出てくる。この野球場には行ったことないけど、すぐそばを歩いて通ったことはある。

映画の中で、自分がつながりを感じている街やランドマークが壊されていくのって感慨深いですよね。

いっそ今この国を破壊しまくっているのがゴジラだったらいいのに。



筋書きは、戦闘的なディープエコロジストの手によって、伝説の存在であった太古の「巨人」たちがよみがえる。というもの。

脚本は、設定はともかくダイアログもちょっとどうなのって思うとこもあったけど、それはそれとしてミリーちゃん相変わらず迫力あるしケン・ワタナベも存在感あるし、チャン・ツィイーも科学者の役がそれなりに説得力あって楽しく観られた。チャン・ツィイー透明感あってほんとキレイだなー。この人大竹しのぶの若い頃に似てるよね。しかしこういうポジションの日本の女優さんが一人でもハリウッドにいたらいいのにな。菊地凛子だけじゃなくて!!!

お金をたっぷりかけた画面は迫力で、海のシーンが美しく、全体になにも考えずに観られて、癒やされました。
モスラがキレイだった!




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2020/06/07

COVID-19検査を受けてきた


2週間ほど前から空咳が出ていました。喉のあたりにイガイガ感があって、炎症が1週間くらい時間をかけてゆっくり咽頭から気管の下のほうに下りてく感じがわかる。
いろいろきをつけて出かけない生活をしていても、なにかに感染するときはするものです。

症状は咳だけで、時々頭痛がすこしするだけで熱もなく、まして嗅覚や味覚に異常もまったくなし。たぶん「ふつうの風邪」だと思うのだけど。

3週間にいちど治療のために通院しているクリニックのアポの確認のときに「咳が出るんだけど、アポはどうしましょう」といったら看護師が電話をかけ直してきて、「念のため、受診する前にCOVIDの検査を受けて」といわれました。
わたしの通ってる医院はとくべつに免疫系が弱くなっている患者さんが多いので、慎重になるのは当然です。

予約を取って、ドライブスルーの検査場へ行ってきました。


シアトル市の北部にあるノースウェスト・ホスピタルの駐車場が会場。


こんなテントが並んでいます。
しかし、指定された金曜の朝に行ってみると誰もいない。病院に電話してみると「あら?あなたはイサクアで検査受けることになってるけど?」…と、車で30分くらいかかる場所の病院に予約されていたことが判明。なんでやねん。
その場で予約を取り直してもらい、翌日またでかけました。



翌日は何台か車が停まっていて、マクドナルドかスタバのドライブスルーのように、エンジンを切って列に並びます。


待ち時間は10分ほどでした。

自分の番になってテントのひとつの前に車を寄せると、 全身防護服に身を包んでフェイスシールドをした看護師さんが窓までやってきて、免許証をみせて名前と生年月日を予約と突き合わせて確認。

検査キットを持って戻ってきた看護師さんは(とても親切な女性の方でした)いっしょにティッシュを数枚持ってきて、「はい、涙が出るからこれを使ってね」とわたしてくれました。

涙が出る?

PCR検査は「綿棒のようなもので鼻孔の粘膜からサンプルをとる」ときいていたので、ふつうの耳掃除をするときのQ-tipsのようなものを想像していたら、ちがった。


10センチ以上ある、細い軸がついた極細綿棒でした。

それを見た瞬間に「話が違う」と思ったものの、帰りますというわけにもいかず、看護師さんが 「頭をヘッドレストに当てて」というのにおとなしく従います。

右の鼻の穴にその極細綿棒が差し込まれた瞬間、暴れそうになった。
ちょっと冗談じゃないくらい痛かったです。鼻をとおりこして脳に刺さってるかと思った。
綿棒を入れられたまま、5秒カウントされてからようやく出してくれます。

たしかに涙出た。

左側に移る前に、「うわーびっくりした。INTENSEっすね」といったら看護師さんは笑って、もういっぺん左の鼻の穴に綿棒をつっこまれるまで数秒の猶予をくれた。

あれ、子どもは無理だと思う。暴れないでいるのに、かなり自制心を試されました。

動揺のあまり、私としたことが検査キットの写真を撮らせてもらわずに帰ってきてしまいました。

あとで波乗り翻訳者えりぴょんに話したら、「〇〇高校のリンチみたいだね」とナゾのコメントがかえってきた。
都内の高校時代、某高校の怖い人たちのあいだで割り箸を鼻の穴につっこむ制裁がされているという伝説があったそうです。知らんがな。

ええ、「番長」とか「スケバン」が実在していた時代でした。 昭和。うちはのどかな学校だったので流血さわぎは見たことなかったけど。

日本の東洋紡では唾液でできる検査キットを開発したそうですが、一刻もはやく普及するといいですね。

わたしは今回、自分の医院をとおして検査を受けましたが、シアトル市では6月5日から、無料のCOVID-19検査を実施しはじめました。

現在のところ、2か所で実施中。ウェブサイトで事前予約が必要です。

テストの実施運営はワシントン大学のUW Medicine。
保険がない人の分は連邦政府に請求するそうです。(保険がある人はUWから保険会社に請求)

テストを受けられるのはシアトル市民だけではなく、「市民権や米国在留資格にかかわらず受けられます」と明記されています。

どのくらい混み合っているのかなと思ってウェブで予約状況チェックしてみたら、来週はもういっぱいだったけれどその次の週は全然空いてました。

サイトのトップには「最近のプロテストに参加した人は曝露されたものと考えて、たとえ症状が出ていなくてもテストを受けることを強く奨励します」って赤い字で書いてあった。そうよね。ほんとに。

こんなの全米の全都市(だけでなくどの自治体でも)早くやるべきなのに、市単位で、たまたまこのリソースの豊かな大病院があるシアトルだからこそ、無料検査が実現してます。

ほかの州では薬局チェーンのCVSが無料検査やってるけど、その州の州民に限定、しかも「キットの数が不足しているため、一定の基準を満たした患者のみ」限定で、症状の出てない人は対象でないみたいです。

ほんとにこのシアトルみたいな検査が早く全米で実施されるといいのですけど!

わたしの検査の結果は、明日くらいにわかる予定です。続報はのちほど!



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2020/06/06

親が子どもに絶対に教えなければならないこと


あじさいが色づいてきました。
もう6月になってますね!
でもさすがにノースウェスト、空気はひんやり。きのうは散歩にダウンを着用。

さすがに網走よりも北だな、とときどき実感する。



シアトルでは土曜から夜間外出禁止令が出されていましたが、水曜日の夜に解除されました。

デモは引き続きかなりの規模で、ダウンタウンのキャピトル・ヒルを中心に行われたそうですが、平和的に行われているので外出禁止令を解除する方針が急に取られて、よかったです。

ついついインスタグラムやTwitterを眺めて長い時間をすごしてしまう日々。


Appleがようやく昨日になって、インスタの公式アカウントに黒塗りブロックで「レイシズムについて声を上げる」というメッセージを投稿。いつやるのかなーと思っていたけど、この会社にしては意外に反応が遅かった。

AppleMusicが火曜日にいきなり「あなたへのおすすめ」をすべてBlackLivesMatter一択にするという過激なことをしてくれてびっくりしたのだけど(おかげで寝るときに聞くおやすみミュージックを探すのに苦労した)、それよりも1日遅れでした。

全米でアップルストアが略奪にあって、コロナの後ようやく再開にむけて一部オープンしていた店もあったけれど、また全店閉店中。ポートランドのアップルストアも一枚何千万円というガラスが粉々に割られてしまったとか。

しかしメッセージはもちろんそれにはまったく触れず、ティム・クックCEOの署名つきでかなり力強いメッセージを出してます。

To create change, we have to reexamine our own views and actions in light of a pain that is deeply felt but too often ignored. Issues of human dignity will not abide standing on the sidelines.To the Black community — we see you. You matter and your lives matter.

This is a moment when many people may want nothing more than a return to normalcy, or to a status quo that is only comfortable if we avert our gaze from injustice. As difficult as it may be to admit, that desire is itself a sign of privilege.

拙訳
(変化を創り出すには、これまであまりにも多く見過ごされてきた深い痛みに照らして、私たち自身のものの見方と行動をチェックし直さねばなりません。人の尊厳についての問題を傍観しているわけにはいきません。ブラックコミュニティの皆さんへ。私たちはあなたたちを見ています。あなたたちは大切です。あなたたちの命は大切です。

今、何よりも以前と同じ生活に戻りたいと多くの人々が願っているかもしれません。不正義から目をそらしてさえいれば快適でいられた現状維持を続けたいと願うかもしれません。しかし、認めるのは難しいことかもしれませんが、そうした願いこそが特権のしるしなのです。)

さすがにストレートで感動的なメッセージだけれど、具体的に何をするということは書いてない。


amazonは、「ここに1,000万ドル寄付しました」とアピールしてます。

Googleは特に動きなし。
Facebookは…いま、トランプの発言をノーチェックで載せる方針が社内で炎上中ですね。

UBERは昨日、「私たちはブラックコミュニティとともに連帯します」というEメールをサービス利用者に送ってきました。こちらは、有色人種に対する警察の暴力の被害者救済活動と抗議活動を続けている団体への寄付や、黒人の経営する店をプロモートすること、トレーニングなどを強化することなど、ブレイクダウンしたTO DOリストを並べてました。

いろいろと揺さぶられるインスタグラムの投稿の中で、特に印象強かったのがこちら。



黒人の親が教える、警官との接し方。こちらから。

5分ほどの動画なのでぜひぜひ見てほしいです。

全文の翻訳をこちらに投稿してます。
字幕にできればいいんですが、とりあえずテキストです。


うちの青年は、2歳から中学まではハワイのオアフ島、そして高校からはシアトルという、とってもリベラルでマイルドな環境で育ったので、じっさいブラックコミュニティの現実に直面することなく成人しました。

なので、デトロイトとかシカゴとかニューヨークで育った人にとっては当たり前の常識や感覚が身についていなくて大丈夫なのか、日本人の片親としてはなにもインプットできないことが不安だった。とくに10代になって一人で南部やニューヨークに旅行に行ったときにはけっこう心配してたのだけど、親が思うよりも子どもの情報収集と判断力は早かったな、と思います。



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2020/06/02

AM I NEXT? とブラックアウトの火曜日


日曜日のボストンのデモはおおむね平和に終わったようで、こちらの夕方、息子からテキストが入ってきてほっとした。

日曜の午後はやっぱり心配であんまり何も手につかず、部屋の片づけをしながら、ネットでボストンのテレビ局の中継をずっとつけっぱなしにしていました。便利な時代になった。

道路を埋めつくした何千人もの群集が整然と行進していました。


ABCより

でもこの後、夜になってからやはり暴動があったそうで、うちの青年の住んでいる近くのニューベリー・ストリートではブティックのガラスが割られて店内が荒らされたりしていたそうで、州兵が出動したそうです。


うちの青年のインスタグラムの投稿より。

翌朝、ガラスが散乱している通りを通ってトレーダー・ジョーズに食料品を買いにいく間、警官と州兵がおおぜいいて、ジロジロ見られたという。


おなじくインスタの投稿より。「AM I NEXT?」というこの文字は自分でパーカーに書いて、日曜日のデモに行くときに着ていったそうです。

次に警察の蛮行の犠牲者になるのは自分か?という意味です。

「自分のような見た目の者にとってはそこに警官がいることは安全のサインじゃないし、州兵の存在は、まんま、脅威だ」という書き込みを読んで、お母さんはまた涙腺崩壊してしまいました。

これを被害妄想とか誇張だと思う人がいるだろうことは想像できるけれど、ほんとうに、肌の色が違って一見「怖く見える」というだけで、ちょっとした成り行きでブタ箱に放り込まれたり、過剰な暴力を受けたり、最悪の場合には死んでしまったりというケースがぜんぜん珍しくない。そのことを今まで社会全体が見過ごしてきてしまった、というのが、今回の背景にある事実です。

それを認めようとしない、または正当化しようとする層と、痛みを共有しようとする層が、ふたつに分かれています。



TIMEより

そしてやはり、この先週からの動きに対して、まったく予想を裏切らないというか、予想を上回る発言と行動を繰り返している、米国大統領。

ホワイトハウス前で抗議をしている人たちに対しては

Big crowd, professionally organized, but nobody came close to breaching the fence. If they had they would have been greeted with the most vicious dogs, and most ominous weapons,
(大勢集まったな、プロが組織してるんだな。でも誰もフェンスには近寄らないぜ。もし近づいたらすごく凶暴な犬がお出迎えするからな。それに最強に怖い武器もな)」

と、実は怖がってるのをまる出しの小学校のガキ大将みたいな脅しをかける一方で、きのうの月曜日には州知事を集めたビデオ会議で

「You have to dominate or you'll look like a bunch of jerks, you have to arrest and try people」
(おまえら、群集を制圧しないとバカの群れに見えるぞ。逮捕して裁判にかけるんだ)

と、軍を積極的につかって抗議の群集を「制圧」するように知事にハッパをかけた。これには多くの知事が、何言ってんだ、黙ってろと反発していたけれど。

大統領はもしかして、この国を滅亡させるシナリオで動いているのかもしれない、そのためにわざと私たちを激怒させ、自分の信者たちにヘイトを焚き付けて、国を分割しようとしてるのかもしれない、という壮大な陰謀論が頭をかすめるようになりました。

そしてきのう、 ホワイトハウス前で平和に抗議活動をしていた群集に催涙弾を打ち込んだあと、お向かいの教会に側近といっしょにとことこ歩いていって聖書を片手に写真撮影をして帰ってくるというプレゼンテーションをして、その様子を得意げに音楽つきの動画にしてTwitterに投稿した大統領。

教会の一部は週末の暴動で被害をうけて板張りになっていました。

その前で聖書を持って「オレは神と教会を守る英雄的指導者だ」とでもアピールしたかったのだろうけれど、これが完全に裏目に出て、その動画にはさっそく無数のパロディが出回るわ、聖職者にも「教会を自分の宣伝に使うな」「写真撮っただけでちょっとの祈りさえしなかった」と叱られるわ、写真撮影に先立って自分が安全に歩けるように無抵抗の群集に催涙弾を打ち込んだことで大ブーイングを受けています。

しかし大統領よりももっともっと理解できないのは、その追随者のほうです。

サウスカロライナ州の知事なんか、大統領が主張している<このプロテストはプロによって組織されたもの>>というあいかわらずの陰謀論を信じているらしいし。

トランプ信者にはおそらく、抗議のデモに参加している人たちの痛みがまったく理解できないししたくもないのだろうと思うと、それが一番こたえる。どうしたらいいんだろう。

不支持率がこの段階でもまだ54%だということは、半数以上の国民はこの人でいいと思っているということ。その事実に深く傷ついてしまいます。




インスタグラムでパラパラと見ていた感想に過ぎないのだけれど、今回のことは、これまで以上に世論をハッキリと分ける分水嶺になった気がします。

もうすでにアメリカは分断されていたけれど、今回でそれがさらにハッキリした。

企業も個人も一人ひとりが、ブラックコミュニティの怒りに連帯するのかしないのか、理解するのかしないのか、立場をはっきりさせなければならなくなっています。そして言うだけじゃなく、実際に何をするかも問われている。

NIKEがいちはやく、「For Once, Don't Do it」(この国で問題が何も起きていないフリをするな、見てみぬフリをするな)というメッセージCMを出して話題になったけれど、これも一部からは「カッコつけたCMで言うだけじゃなくて、実際には何してんの。あんたもそういう体制を温存してきた一部でしょ」と批判を浴びてます。
 
インスタグラムの公式アカウントも月曜日にアイコンをブラックに変えて、「レイシズムに対して立ち上がり、ブラックコミュニティとともにあります」と宣言し、「Facebook社は差別を終わらせるために1,000万ドルを使うことを誓約します」と投稿していました。




家具のハーマンミラーまで、「BlackLivesMatter」の投稿をして「私たちはブラックコミュニティとともに連帯し、レイシズム、警察による蛮行、暴力に立ち向かいます」と宣言していました。

これほどアメリカの社会が大きく動揺したのは、同時多発テロ以来だと思う。
でもあの時は外部から来た攻撃への反応だった。

今回は、社会にある矛盾を問題としてとらえるのかどうか、それに対してNOを言うのかどうか、というところで分断が起きている。
この視点の違いがこれほどハッキリ、激しく対立して国全体が揺れているのは、1960年代以来かもしれません。

コロナのせいですでに生活がグラグラしていたところに、こんな展開の一撃が来るとは思ってもみなかったけれど、ここで問題になっているのは何一つあたらしいことではなく、それこそキング牧師が50年以上も前に言っていたとおり、アメリカ社会が先送りしてきたこと。わたし自身も、見ないふりをしてきたし今まで特に何もしてなかった。

コロナ禍とトランプが、それをますますよく見えるようにしてくれた、ともいえる。

もちろん、この動きがすぐに建設的なリフォームに直結するほど話は簡単ではないだろうし、トランプが売り出そうとしている陰謀論みたいなスカスカのカス話だけではなく、もっともっと陰湿な妨害が入るだろうし、内輪もめをあおる動きもどんどん出てくると思います。

なにより、キング牧師のようなリーダーのいない今、この怒りが革マル派みたいに崩壊していくのを見るのは何よりもつらい。

それでも、若い世代の冷静な行動力と、つながる力と、純粋な意欲に期待したい。今の「Z」世代は、エゴを介在させないで政治ができる世代になるのではないかなんて期待も少しだけしているのです。買いかぶりすぎかもしれませんが、その壮大な希望をもって祈っています。

トランプ政治がいくところまでいって、ウミを出し尽くして、その反動で透明感のあるものが出てきてくれるといいな。

きょうはインスタグラムのアカウントがみんな真っ黒になっています。

暴力でなく、ほんとうの対話が始まるように。理解にもとづいた社会を築ける日が来るように。
ひきつづき諸天善神に祈る。


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