2010/11/24

晩秋の雪

予報どおり、サンクスギビングの前にシアトル一帯は雪になりました。
21日の日曜日からちらちら降り始めた粉雪が、月曜の朝、ちょうどラッシュの時間に本格的に降り出して積もり始めました。


シアトルの人は雨には慣れていても、雪慣れしていません。

雪が降り出したとたんに制限速度時速80キロの道も時速5キロくらいでノロノロ運転しはじめるし、スノータイヤをはいている人はとても少なく、なんでもない道でスピンしたり電柱や壁に追突する車が続出。
いつも30分の道が3倍の1時間半くらいかかる大渋滞に。



大混乱は、夕方のラッシュ時に始まったのでした。

高速道路でも一般道でも、すべって追突したりひっくり返ったりの車やトラックが大続出で、まったく動かない「Gridlock」(グリッドロック)、つまり駐車場状態に。
気温はどんどん下がり、シアトルとしては記録的な零下5度Cの夜に6時間以上渋滞に閉じ込められて、ついにあきらめて車を路肩に捨てて、歩いて家に帰った人も多かったようです。 

チェーンを巻いていたにもかかわらず、市バスも200台以上が立ち往生。




…シアトルにしては記録的、とはいえ、積雪はたったの10センチ程度。気温は氷点下5度C。地元テレビは『Deep Freeze! 』とセンセーショナルな特集を組んでいたけど、雪国の人からみれば大雪とはとても呼べない降雪量で、この大惨事に。





シアトルは、つい2年前の12月にも記録的な大雪に見舞われて市内の機能が麻痺してしまい、十分な教訓となっていたはずなのに、「なんで私たちは雪に弱いんでしょう?」とシアトル・タイムスの記事が分析してました。


それによると

1)道路に塩を撒いたのだが、気温が予想以上に下がってしまい、逆に氷が張ってしまった箇所もあった。

2)市バスを雪道で運行するルート指令がお粗末で、無理な坂道を行かせて事故につながったりした、

3)大渋滞していたのに、手が回りきれず、高速の一部を閉鎖したままだった、

4)シアトルは坂や橋が多く、凍りつくと車にとっては最悪になる、

5)ドライバーがとにかくまったく雪道というものをわかっていない。

というのが理由だそうです。



たしかに、ダウンタウンや周辺の住宅街にはきっつい坂がたくさんあるのに、果敢にも、スノータイヤもチェーンもなしでその坂に出ていこうとするドライバーがあまりに多く、結果として渋滞を引き起こしてしまうのだそうです。

そんな坂道でカメラを持って待ち構えていた人もあるらしく、こんな恐怖のビデオも。見事なまでに次々に滑っていく車、そして最後には市バスも横滑りして電柱にぶつかる。


市内の全公立小中高校は、翌日の火曜、翌々日の水曜も雪のためお休みに。

翌日は快晴だったけれど、道路はがらんとしてました。

木曜と金曜はサンクス ギビングの休日でもとからお休みだったから、こどもたちにとっては降ってわいた1週間の休暇となりました。


まだ今年、あと何回か雪は降るのかな。

シアトルの人はいったいあと何回「大雪」に見舞われれば雪道に慣れるのでしょうか。

2010/11/19

木苺の藪


晩秋のMagnuson 公園。

シアトル近辺では公園にもハイウェイ沿いの道端にも、よくブラックベリーがわさわさと茂っています。

もうすでにミイラ化してしまっていたけれども。
来年は実のある時期にバスケットを持って行こう。


バラ科でとげのあるキイチゴは、鮮やかな赤と緑のグラデーションや渋い黄色や、いろいろな色に変わる。

一見地味だけど、光が当たると、ステンドグラスのよう。






本日のシアトルは7度C。 週末には雪の予報。
マフラーが手放せない季節になってきました。

2010/11/12

マグナソン公園


シアトルには公園が多い。リビングルームくらいなサイズのご近所公園から、広大なスポーツ公園までいろいろ。

Magnuson Park (マグナソン・パーク)はシアトル市営公園のなかで2番目に大きく、敷地面積350エーカー=141ヘクタールだから、東京・立川の昭和記念公園よりほんのちょっと小さいくらい。

その昔米軍基地だった昭和記念公園と同じく、ここも昔は海軍の航空基地だったところだけれど、出来上がりはかなーり違う。

まず面白いのは、海軍の航空基地だった時の建物の多くがそのまま取り壊されずに残されているところ。



正面入り口には、かつて兵隊さんがIDチェックをしていたゲートと、モニュメントが。(入園は、もちろん無料。)

この翼のマークを見て、わたしは最初、ここは昔ホンダの工場だったのかと思ってしまいました。

この翼は、1920年代、ここにあった航空基地から飛び立った飛行機群が成し遂げた、初の世界一周飛行を記念したモニュメントだったのでした。

GPSなんかなかった時代、コンパスだけでよく行って帰ってきましたね。



ゲートを入ったあたりには、第二次世界大戦以前に建てられた兵舎や住宅や航空機格納庫が残っていて、民間の団体や企業が間借りしている。

軍用車の巨大ガレージだった建物を登山団体が借りてロッククライミングの練習施設を作ってたり、大戦時代の飛行機格納庫を私企業が借りてインドアサッカーのコートを作ってたり。正面ゲートの建物の一部には「シアトル自転車クラブ」が入居している。


もと兵舎のうちいくつかは、低所得の家族のためのシェルター住宅になっている。

基地時代のシアターは市民オペラが入居していて、教会も現役で使われているみたい。

建物のいくつかはワシントン大学が所有していて、倉庫やオフィスにしている。

地方自治体と市民団体と民間企業が入り組んでコミュニティをつくろうとしているところが面白いなと思う。きっと市民組織が活発だから成り立っているのでしょうね。


この公園はワシントン湖に面していて、2キロくらいの「ビーチ」もあり、ボートやヨットを水に浮かべるための進水台(というのか)も整備されている。

自家用ボートを家からトラックでひっぱってきて、ここから湖に出る。夏の盛りには車の行列ができるようです。

格別なお金持ちのネイバーフッドでなくても、シアトルではよくガレージの前に小型のモーターボートが置いてあるのを見かける。湖や湾で水上スキーをしたり釣りをしたり、というのはこのへんではとてもポピュラーな夏のファミリーレジャー。(本当に大金持ちの方々は水辺に住んでいらして、市営公園を使わずとも自宅の裏庭に船着場がある)


公園内の一部では、ボランティアの手で外来植物を排除して原生種の植物群を再生する試みも進行中。


人工芝のサッカー場のすぐ裏には、見たところ自然のままの湿地帯が残されていて、こんなのどかな散歩道が。
とても住宅街の中にある公園とは思えない、ワイルドさ。



草陰からカエルののんきな声が聞こえる、まるでどこか人里離れたハイキングコースのような湿地だけど、これは駐車場から徒歩3分。ほんとにサッカー場からボールが飛んできそうな距離だ。

予算もないのだろうけど、たとえば整備された庭園を作りましょうという発想は最初からなかったらしい。そのまま残そう&保護しようという声のほうが普通に大きいのが、シアトルらしさなのかもしれません。

散歩道も湿地のあたりは舗装なんかされていないので、ところどころ、長靴でないと無理な感じのぬかるみになっていて要注意です。



昔、滑走路のあったあたりは、サッカー場8面、野球場、テニスコート、凧揚げ広場、ドッグパークなどになっている。ひろびろした原っぱが気持ち良い。


ドッグパークがあるので、大きな犬を連れてきて散歩する人多し。


特に名所というようなものではないけれど、犬や小さな子どもを連れて、のんびりお散歩やピクニックするにはぴったりの、ひろびろして気持ちの良い公園です。

季節にもよるかもしれないけど、パーキングも広大で不自由しないし、おやつ調達のためには、ゲートの前に感じの良いベーカリーもあって便利です(日曜休み)。

もちろんコーヒーも調達出来る。

息子のサッカー練習の間に買って食べたハム入りのキッシュがおいしかったです。



2010/11/08

El Camion


El Camion は、オーロラ通りのホームセンターHome Depotの敷地にいつも出ている黒いトラックのメキシコ料理屋さん。最初なにげに寄ってそのフィッシュタコのおいしさに驚いた。タコスをはじめ、自家製サルサ、ゴディタ、ココアで煮込んだ鶏料理の「モレ」、たまにしかないけどサビーチェ、など、どれをとってもハズレなし、手抜きのないおいしさ。のわりにタコベルと大して変わらないお値段もとっても嬉しい。
間違って激辛の肉などを頼んでしまったときにはなくてはならない、優しい甘さのお米飲料ホチャタも、ここのは甘すぎず薄すぎずおいしい。
  
お好みのお肉、ブラックビーンズ、ライスを巻いたブリトーは6ドルで、推定800グラムくらいのずっしり感。ティーンエイジャーの息子もさすがにこれ一個食べた後はしばらく「腹へった」と言わない。

写真はバラード地区に新しくできた「支店」 で、このほかSODO地区でも操業中。
Home Depot店のほうが、微妙〜においしい気がするけど、気のせいかもしれない。



 ちょっと待ち時間があります。
特にバラード支店はまだ開店まもなく手際が悪いのか、おじさんが時々注文を間違えておばさんに怒られているので、柴犬さんのように辛抱強く待つ覚悟が必要。



 これはビーフタコ。1個1ドル40セント。わたしは3個でお腹いっぱい。

2010/11/04

大雪の予報


シアトルの位置は北緯47.36度。実は稚内よりも北にある。

太平洋の海流のおかげで北国のわりには温暖で、11月の平均気温は昼間が摂氏10度、夜が摂氏7度。12月でも昼間が摂氏7度、夜が摂氏4度。 街中に雪が降ることはめったにない。

…のだけど、今年は「ラニーニャ」の影響で、米国北西部にもドカ雪が降るという予報。

2年前の12月には立て続けに記録的な吹雪が来て、町の中にも大雪が積もり、坂だらけのダウンタウンはもちろん、シアトル市中が完全に機能停止してしまったらしい。

東京もそうだけど、雪に慣れていない都市はちょっと雪が降ると完全麻痺してしまうのですよね。
 

そのときに道路に積もった雪を溶かすために塩や化学物質を使わず、砂6000トンをふりかけたのが、雪はぜんぜん溶けずに固い氷になってしまい、2週間後にも車が動けない状態で、市長や交通局には非難ごうごうだったという。


当時の市長が「次の雪には塩を使います」と約束したので、来る大雪に備えて500トンの塩が用意されているとか。


今週は青空が続き、昼間は半袖で充分なくらいの爽やかなお天気。
去年の冬はずっとこんな晴天だったけど、それもまた異常気象な年であったらしく、「去年の冬をシアトルの冬だと思っちゃダメよ〜〜」と、長くからの住人はみんな口を揃えて忠告してくれる。

さて本当に雪は降るのでしょうか。運転する身としては、出来れば降るのは山だけにしてほしい。

2010/11/01

Halloween


今年のハロウィーンは雨、の予報が外れて、なんとかお天気がもちなおしたので、急いで近所のかぼちゃ写真を撮りにでかけた。
この界隈は子どもが多いこともあって、どこのおうちにもほぼ8割の確率で(きわめてテキトウな統計ですが)玄関の前にかぼちゃが並んでいます。

力作ぞろい。
パンプキン・カービング(彫刻)はやってみるとかなり楽しい。
このかぼちゃって、 日本のかぼちゃみたいに中身が詰まってなくって、しかも意外に柔らかいので、スーパーでこれ専用に売ってるぺらぺらのプラスチック製の糸のこみたいなので、けっこうスイスイ切れてしまう。細かい模様を作るのも実はそんなに難しくないのだ。


ここんちは大人のカービングパーティだったもよう。細工が凝ってます。


岡本太郎風?

ミニサイズのねこのかぼちゃがかわいい。


そしてもちろん、どこの近所にも1軒か2軒、ハロウィーンとなるとものすごくはりきってしまう家がある。ガレージにお化け屋敷を作って近所の子どもを待ち構えていたりw


 壁一面、大蜘蛛に襲われた家。夜はライトアップつき。

この近隣の一等賞はこの、煙突より高い死神。オリジナル作品らしい。迫力です。

クリスマスリースの前に秋用のリースをかけている家もある。


暗くなってくると仮装した子どもたちがキャンディ用のバケツをさげて走りだす。薄闇の中をこどもたちが羽根やお面をつけて走っている風景はなかなか素敵だけど、住宅街の運転にはくれぐれも注意が必要。

最近は昼間、安全な商店街でトリック・オア・トリートのイベントを開催するところも多い。こどもが小さいうちは、何を着せてどこに連れていくか、頭を悩ます一大イベントなのですよね。